習近平の晴れ舞台に冷や水をかけた全人代「白眼視」事件をご存じか

「やらせ取材」批判がネットで大爆発
古畑 康雄 プロフィール

「全人代そのものへの蔑視」

フランス国際ラジオに掲載された一文「習近平の戴冠式にショックを与えた白眼視事件」はこの点を的確に突いている。

今回の全人代は「手の込んだ大芝居であり、第一段階は非常に順調に演じられた。習近平はクーデターに近いスピードで国家主席の任期を撤廃した。(中略)ところが当局が事前に仕組んだ質問者が失態を犯し、『我が国、我が国』と繰り返して『偽外国メディア』と暴かれた張慧君が梁相宜の白い目を浴びた。この事件は中国のソーシャルメディアに巨大なお祭り騒ぎを引き起こし、当局が必死になって梁、張の名前を削除したことからも、白眼視事件はあっという間に全人代そのものを白眼視する嵐となり、当局が作り上げようとした『官民が一体となり全国人民が支持する』雰囲気に深刻な衝撃を与えた」とこのように指摘。

 

「全人代が終わって、人々の記憶に残るのは習近平がクーデター式に憲法を修正し終身主席となったことと、この白眼視事件の2つだけだろう」ときつい一言を浴びせている。

さらに、「もし梁相宜の白眼視がなかったら、中国政府が長年にわたり行ってきた対外宣伝(のからくり)は暴露されることはなかった。ソーシャルメディアではここ数日、張慧君が『偽外国メディア』であることを証明する大量の資料が出回ったが、世論はほぼ一辺倒で梁を支援し、張を批判する側に回った。梁の白眼視は自分の意見を勝手に代表され、投票権がなく、ただ数千人の政商や高官が演じるパフォーマンスを見ることしかできない中国人の全人代への態度を示している」。

「(中略)白眼視事件は『家の中のゴタゴタ』を全世界に暴露したが、無数のネット市民は梁を支持した。偽外国メディアへの蔑視だけでなく、盛大だが見せかけの政治儀式への蔑視が、ネット市民の目線から感じられる」とこの文章は結んでいる。

今回、友人の漫画家、変態辣椒がラジオ・フリー・アジアにお得意とするブラックジョークの漫画を発表した(動画あり)

作:変態辣椒、出所:ラジオ・フリー・アジア

皇帝の服を着た習近平が「人民が私を選んだ」と言う横で、青い服を着た女性が白い目をむいているというものだ。不満を言いたくても言えない人々にとって、梁記者の白い目は、ものを言えない重苦しい雰囲気の中で格好のはけ口となり、全体主義的傾向を強める中国政治への予想すらしなかった抗議として、一時とはいえ習近平政権の心胆を寒からしめたと言えそうだ。

(この記事は筆者の個人的見解で、所属団体を代表するものではありません) 

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