習近平の晴れ舞台に冷や水をかけた全人代「白眼視」事件をご存じか

「やらせ取材」批判がネットで大爆発
古畑 康雄 プロフィール

「人民は白眼視する権利を持つ」

一方白目をむいた青い服の女性は、上海に本部を置く経済メディア、『第一財経』の梁相宜記者と分かった。

当初「テレビで目立とうとした」との批判も受けたものの、現場にいたという同業者から「みな同じように張記者の質問にうんざりしていた」と弁護の声が広がった。

ネットで広がった梁記者と友人の微信のやりとりとみられる画像では「あなたの白目をむいた様子が生中継されたよ」との友人の呼び掛けに、「だって私の横に馬鹿が立っていたから」「あのひどい様子を見たでしょう? 答えよりも質問のほうが長かったわよ」と答えている。

ユーチューブには梁記者が今回の全人代で質問する映像が公開されているが、ダラダラと質問を続けた張記者と比べ、テキパキと要点のみを質問しており、明らかに記者としては張記者よりも優れている。梁記者の「表情包」(SNSのスタンプのようなもの)がネットで次々と拡散したほか、2人のやり取りを真似た抱腹絶倒のパロディ動画も出回った。

 

だが、多維などの報道によれば、当局はこの2人の大会取材資格を取り消し、さらに第一財経は「取材現場での規律に違反した」ことを理由に梁記者を解雇したという。梁記者は事件の翌14日、北京のホテルで泣きながら反省書を書いたという。

取材の現場での記者同士のトラブルは、我々の業界では珍しいことではない。ところがこの事件に世論は大きく反応し、中国当局は14日、事件に関しメディアが議論することを禁止した。世論の多くは梁記者を支持し、張記者を罵るものだった。

なぜこのような反応が起きたのだろうか。それは人々が梁記者の白眼視を通じて、全人代は「ヤラセ」「虚構」であることや、習近平が強引に推し進めた「終身制」への不満を表明したからだ。在米の著名民主活動家、王丹はフェイスブックで「人民は白眼視をする権利を持っている!」と喝破した。

今回の件について、微信で公開されたネット市民のメッセージからは、全人代の「ヤラセ感」、さらには人々が習近平の「終身制」に対して口に出したくても出せなかった思いが、ほとばしるようだ。

ネットでは梁記者の白目をイラスト化し、セリフを付けた「白眼歌」という画像もあった。「あなたの白い目は、煌く星のように、重苦しい会場を明るく照らした。あなたの白い目は、激しい平手打ちを、虚偽の表情に食らわせた、あなたの白い目は、無言の抗議であり、ゴマすりやお追従の狂乱への抗議となった」。

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