森友政局で与党・公明党がなぜか安倍政権を批判する「ウラ事情」

「与党内野党」と化したワケ
鈴木 哲夫 プロフィール

転機は昨年秋の総選挙

では、なぜ与党の一角である公明党が、あえて政権に弓を引くようなことをするのか。それには、安倍政権下で党勢の弱体化に悩む公明党の事情が絡んでいる。

そもそも、2015年の国会で安倍総理が安保法制の強行採決に踏み切ってからというもの、公明党にとって最大の支持母体である創価学会の会員の間では、公明党執行部への不満が高まる一方だった。

その不満が「結果」として如実に現れたのが、昨年秋の総選挙である。自民党は選挙前と同じ284議席を維持したが、公明党は実に9年ぶりの選挙区での落選者を出し、フタを開けてみれば6議席減の29議席。「大敗」と言うべき散々な内容だった。

何より公明党が重く見ているのは、比例票の減少だ。

これまで公明党の比例票は、学会員を中心とする基礎票が約700万、それに学会員が親族・友人・知人などに呼びかけて獲得するいわゆる「フレンド票」を合わせて、最終的には800万票前後を獲得するのが常だった。

ところが、昨年総選挙での公明党の比例票は約697万7000票と、自公連立が成ってから初めて700万票を切ったのだ。

「これは大変な事件でした。強みの組織力も、致命的に弱体化が進んでいることがわかった。

もう一つは、今や自民党議員は公明党の票を『あって当たり前』だと考えるようになっている。その裏返しとして、自民党側において『比例は公明』が徹底されなくなり、比例票が流れてこなくなっているのではないか」(公明党幹部)

 

完全な「与党内野党」として

総選挙における自民党の圧倒的強さを下支えしているのは、言うまでもなく公明党支持者の票である。それなのに、自民党の側は公明党を軽んずる。安倍政権も、公明党執行部の意見を積極的に取り入れようとはしない。

そのような状況下で、少なからぬ学会員が、安倍政権下の公明党を「下駄の雪」「安保法制、憲法改正、アベノミクスと、何でも賛成してばかり」と批判的に見ている。軽減税率の素案づくりでは多少粘りを見せたが、今となっては消費税増税そのものがおぼつかない。

危機感を募らせた公明党幹部たちは、「何とかして党の存在感を取り戻さなければ」と考え、総選挙のあと「与党内野党」へと完全に舵を切った。

具体的には、公明党の原点である「平和と福祉の党」というイメージを再び前面に出し、安倍政権の政策にきちんと注文をつける。そうしなければ、支持者の心は戻ってこない。

視線の先にあるのは、来年春に予定される統一地方選だ。