フィギュアスケート世界選手権「女子シングルの抱える闇」

身体能力がすべて、でいいのか
青嶋 ひろの プロフィール

「息の長い選手」をどれだけ輩出できるか

この問題を考えるとき、やはり期待したいのは、宮原知子や坂本花織をはじめとする、日本の選手たちだ。「4年後もまたオリンピックに出たい」と坂本は笑顔で話していたが、日本に帰ればまた、激しい国内の代表争いが待っている。ジャンプ技術が進化し続ける中、自身の技術を保っていくのも、難しい挑戦になるだろう。

宮原知子選手

しかしアジア人は欧米人より身体年齢が若く、アスリートとしての寿命も伸ばしやすい、と言われている。平昌では残念だったが、オリンピックでは92年のアルベールビル五輪の伊藤みどりから14年ソチ五輪のキム・ヨナまで、7大会連続でアジア系女子が表彰台に立ち続けてきたほどだ。

なかでも幼少期から厳しいしつけを受けた日本人は、過酷な練習量に耐えうる勤勉さ、忍耐強さも持つと言われている。

16歳で長野五輪出場の荒川静香も、18歳でトリノ五輪出場の安藤美姫も、その後にきっちりと力を伸ばし、それぞれ世界チャンピオンやオリンピック金メダリストとして花開いた。

浅田真央も19歳でバンクーバー五輪銀メダル後、ソチに向けて走り続け、10代では見せられなかった成熟したプログラムを見せてくれた。10代のピークで終わることなく、2度目、3度目の五輪でも輝ける選手に――彼女たちこそ、女子フィギュアスケートのロールモデルだろう。

トリノ五輪前の2004年ごろから日本が台頭し、ソチ五輪前からロシアが追いかけ、女子シングルは、二大大国時代が続いている。オリンピックはここ2大会、ロシアの若い選手に表彰台を持っていかれてしまい、やや日本女子の勢いは衰えたか、と見えるかもしれない。

しかしこの先、荒川静香のようなチャンピオンを――チャンピオンになれなくとも、コストナーのような、長洲未来のような、息の長い、フィギュアスケートの理想を体現できる選手を、どれだけたくさん送りだせるかが、真のフィギュアスケート大国たる証になるのではないだろうか。

もちろん他の国からも、コストナーやオズモンドのような競技人生を目指せる選手がたくさん出てくるように。ルールが大きく変わると言われている平昌五輪シーズン後、女子シングルがそんな種目に近づくような改正を待ちたい。