森友文書改ざん問題、財務省を暴走させた「圧力」の正体

「忖度か指示か」の二択は奇妙だ
山下 祐介 プロフィール

行き過ぎた政治主導

では、この「圧」はいったいどこからきているのか。

いつから発生し、どのようにすれば止まるのか。

まず、この「圧」の正体は、「政治主導」であろう。政治主導が強く作動しすぎたことが、こうした事件が生じた背景にある。

安倍政権はまさに政治主導の体制であり、それも与党執行部の非常に強い1強構造がその特徴とされている。

1強構造はたしかに様々な政策を断行し、国家を強力に導く指導力に優れた体制なのかもしれない。が、そこには危うさが潜んでおり、それが財務省の公文書書き換えなどという前代未聞の事態を引き起こした原因だと見たい。

政治と行政のバランスが大きく崩れ、行政の側から「それは政治としてやるべきことではない」と批判することさえできなくなっていく。

それどころか、「行政としてやってはいけない」ことにさえ手を染めはじめ、森友問題ではまず森友学園への過剰な配慮にはじまり、第二段階としての佐川氏の国会答弁、そして第三段階としての公文書書き換えが行われたということなのだろう。

そして我々はこうしたことが単発で生じていたのではなく、いくつものことが重なってエスカレートしていったことに、「圧」がもたらす問題の根の深さを見なくてはならない。

そして振りかえれば、森友問題のあとには加計問題が発覚し、またその前後には防衛省、厚労省で似たような問題が発覚した。

そして筆者が先日分析したように(「福島原発事故から7年、復興政策に『異様な変化』が起きている」)、例えば福島第一原発事故からの復興政策についてみても、第三次安倍政権以降の政策内容に、従来の霞ヶ関では考えられないようなずさんで矛盾した内容が――しかもそれでいて政権の成果を過剰に礼賛する奇妙なものが――現れてきているのであった。

霞ヶ関の官僚機構はもはや、本来の働きを失って、きっかけがあればいつでも暴走する、そういう危うい状態に入っているのではないかと危惧される。

 

政治と行政のバランス崩壊

現在、野党は今回の文書書き換え事件を自民党・安倍政権の責任問題として追及しているが、なぜこんなことが起きたのかを理解するにあたっては、とくに民主党政権時代に進めたことも含めて、野党自身のあり方もしっかりと反省する必要があると思われるのである。

問題は政治と行政のバランスが崩れてしまったことにある。そのきっかけとなったものとして、平成26年設置の内閣人事局があげられているが、これも民主党政権が導入を強く押していたものと記憶する。

安倍政権におけるバランス崩壊の度合いはひどいと思うが、ではその前の民主党政権はどうであったかと言えば、その時もまた別の意味でバランスを欠いていた。

そしておそらく小泉改革以来、二十年来の政治=行政バランス変更のおぞましい結果として、財務省による文書書き換えをはじめとする、第三次安倍政権下の各種の事件が位置づけられるものと思う。

政=行バランスをいかに決着つけるのかという問題意識なしに、安倍首相やそのまわりの政治家たちの責任論を追求しても、政治バトルは活気づくかもしれないが、本当の問題は解決されないだろう。