科学者が「おいしさ」を本気で研究したら、こんなことが分かった

味覚をセンサーで検知する
ブルーバックス編集部 プロフィール

味覚の数値化を研究している九州大学大学院の都甲潔主幹教授は、ベンチャー企業のインテリジェントセンサーテクノロジー社との共同で味覚センサーを開発している。ヒトの舌の性質を模倣したセンサーで味物質による電圧の変化を測定することで食べ物の味の強弱を数値で表すことができる。

食べ物を口に入れたときに感じる「先味」、食べ物を飲み込んだ後に感じる「後味」を甘味、塩味、苦味、酸味、旨味の基本の味やコクや雑味などの数値で表現できる。

味覚センサーでは、味の相互作用も分析できることがわかり、その測定から食べ物の組み合わせの新しい知見が得られている。

 

肉料理に赤ワインが合う理由は、赤ワインの渋味に肉のうま味を洗い流す効果があり、肉をおいしく食べ続けることができるためだとわかった。また、日本酒は白ワインよりチーズのうまみの余韻を多く残すことが明らかになり、日本酒とチーズの相性がいいことが示された。

こうした食べ合わせを味覚センサーで検証していくと、相性のいい食べ物の組み合わせのパターンがわかってきた。食べ物の味わいを分類していき、同じパターンの組み合わせや補完しあうパターンの組み合わせの食べ物は相性がいいのだ。すると、塩鮭と酸味の強いコーヒーの相性がいいという意外な組み合わせがみつかった。

どんな味になるか想像がつかなかったので、その組み合わせを試してみた。酸味の強いコーヒーではなかったので、最適な組み合わせだったのかどうかは定かではないが、悪くはなかった。

生ハムメロンは意外な組み合わせの代表格(Photo by iStock)

コーヒーの風味は意外にも鮭の塩味や脂とあっていたし、鮭の臭みも抑えていたようだ。塩鮭にはやはりご飯がほしいというのが率直な気持ちだが、興味のある方はぜひ試してほしい。先入観にとらわれずいろいろな組み合わせを試してみると意外なおいしさがみつかるのかもしれない。

味物質の種類は多く、食べ方により組み合わせもさまざまなので高精度な測定にはまだ改良が必要だが、センサーにより複雑な味を客観的に評価できるようになったのは大きな進歩だ。

その成果は味覚の理解にもつながってきた。味覚の生理的な理解も進んでおり、今後おいしいという感覚がどこまで解明されるのか楽しみだ。