科学者が「おいしさ」を本気で研究したら、こんなことが分かった

味覚をセンサーで検知する
ブルーバックス編集部 プロフィール

千差万別の味覚をどう測るか

私たちはさまざまな食べ物を組み合わせ、調理や調味し、このことによって生まれた複雑な味わいや香り、歯ざわりの変化などにおいしさを感じている。このような食べ方をする生物はヒトだけだ。

とはいえ、おいしさはしょせん個人の主観によるもの。先のおでんと日本酒の組み合わせはたしかにおいしかったが、その組み合わせは店主の感覚によるもので絶対的なものではない。

 

コーラを飲みながら食事をする人を見かければ、その組み合わせは合わないだろうと思うが、おいしさは人それぞれ。もしかしたら先入観で合わないと決めつけているだけで、実際はおいしいのかもしれない。

私たちははおいしさを舌や口の中ではなく、脳で感じている。食べ物を食べるとき、まず食べ物のにおいを感じ、食べ物の色や形を認識し、口の中に入れる。

口の中では味はもちろんのこと、かたい、やわらかいなどの食感を感じ、耳では「ぽりぽり」といった食べ物の音を聞いている。

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嗅覚、視覚、味覚、触覚、聴覚の五感を使って食べ物のあらゆる情報を受け取ると、それを食べてよいか悪いか判断し、食べてよいとなれば、おいしいと感じ、食欲をわかせて必要な栄養素を摂取しようとしている。そのため、おいしさを感じさせる要因には、味やにおいばかりでなく、食べ物の色や形、食べたときの食感や音などさまざまなものが含まれる。

さらに、食べ物の直接的な要因だけでなく、食べる人の体調や食べるときの環境、食文化などの間接的な要因にもおいしさは左右されている。「おいしい」とはよく使う言葉だが、実際はこの感覚はかなり複雑だ。

食品のおいしさを評価することはとてもむずかしく、食品メーカーは食品を様々な方法で分析した客観的評価と食べる人の感覚による主観的な評価を組み合わせている。

近年は消費者の好みが多様化しており、いくらすぐれた感覚をもつ検査の専門家でも多様な味の好みを評価することはできない。味を計測し、おいしさを客観的にとらえるものさしがあればいいのだが、味覚は複雑で感じ方の個人差が大きいので、客観的な評価は難しいと考えられてきた。