「武蔵小杉がいま熱い!」と騒ぐ人たちがまったく気づいていないコト

タワーマンションは目を引くけれど…
現代ビジネス編集部 プロフィール

さらに綱島街道を挟んで3本のタワーが立ち並ぶ。「リエトコート武蔵小杉 ザ クラッシィタワー&イーストタワー」(2008年築、45階建)と「ザ コスギタワー」(2008年築、49階建)だ。クラッシィタワーが41階の3LDK(82.44m2)で5,762万円と、築10年で現実的な価格になってきていることに驚きを覚える。

リエトコート武蔵小杉右から、リエトコート武蔵小杉ザクラッシィタワー、ザコスギタワー、リエトコート武蔵小杉イーストタワー
パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー右から、パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー、同ステーションフォレストタワー、エクラスタワー武蔵小杉

街道を駅側に戻って、グランツリー武蔵小杉のすぐ北側。低層階に中原市民館が入り、周辺で最高の高さを誇るのが「パークシティ武蔵小杉 ミッドスカイタワー」(2009年築、59階建)。47階の3LDK(99.05m2)で8,302万円。

さらにその隣りに「パークシティ武蔵小杉 ステーションフォレストタワー」(2008年築、47階建)。41階に共用のスカイビューバスを備えた豪華物件。ダイエー経営の「foodium(フーディアム)武蔵小杉」にも直結している。

このように、合計11本ものタワーマンションが武蔵小杉駅を囲んで林立していることになる。さらに、東急スクエアの西隣りに新たなタワーマンションが建設中で、さらに5本の新設が決まっている。横須賀線の東側にそびえるオフィスビル「NEC玉川ルネッサンスシティ サウスタワー&ノースタワー」と合わせて、首都圏屈指の超高層ビル群の成長はまだまだ続くようだ。

小杉町三丁目計画イトーヨーカドーの北側で建設が進む新たなタワーマンション(38階建、2019年度末竣工予定)

投資物件のため空室が目立つ

11本のタワーマンションの総戸数は6497戸。1戸に3人の家族が住むと仮定すると、満室の場合、単純計算で約2万人。わずか10年でこれだけ増えれば、朝の通勤・通学時に改札待ちの行列ができるのも想像に難くない。

 

しかし、現地で街の人々に話を聞いてみると、現実は多少異なることがわかってきた。毎月納品のためにタワーマンションを訪ねるという洋品店の店主が語る。

「入居者の方から聞いた話なので、正確な現状はわからないのですが、満室どころか、けっこう空き部屋が多いみたいなんです。新築からこの10年のあいだに早くも売りに出した方もいれば、初めから投資目的で買われた外国人の方々も多いようで、お部屋を訪ねたときに地下の駐車場を何度か見ましたが、確かに空きが目立ちますね

日本国内の大手不動産サイトを覗いてみると、確かにどのタワーマンションも売りに出ている部屋が少なからずある。外国人投資家の売買はこうしたサイトからは見えてこないことも考えると、この店主の証言はある程度正しいのだろう。

武蔵小杉、地元の不動産屋新築タワーマンションの最上階も、地元の不動産屋でふつうに売られている
イトーヨーカードー武蔵小杉駅前店イトーヨーカドーはグランツリー武蔵小杉内にも出店したが、従来からある駅前店を支持する地元住民も多い

タワーマンションの入居者については、その数だけでなく、エリア内での動きも限定的なようだ。駅至近のイトーヨーカドーの買い物客がこんなことを教えてくれた。

「グランツリー武蔵小杉には百貨店『西武・そごう』の小型店舗が入居していたのですが、3年持たずに閉店。タワマンの富裕層を狙ったと言われていましたが、アテが外れたようです。かと言って、地元の戸建てや低層マンションに住んでいる人たちは、そもそもタワマンが並ぶエリアの商業施設でほとんど買い物をしないので、どうにもならなかったんでしょう」