レジェンド団地「大泉学園町」に子育てファミリーが殺到する深い理由

「可もなく不可もなく」がイイらしい
現代ビジネス編集部 プロフィール

良くも悪くもない街、だからいい

北千住での取材(『「住みたい街」人気の北千住を歩いてわかった厳しい現実』)でも、近年の人口増や街の活性化を担っているのは、子育てファミリーであることが明らかになっている。当然といえば当然のことだが、当のママさんたちはどう感じているのだろうか。

 

街の中心を走る大泉学園通りで、赤子を抱えて買い物中の女性に聞いてみた。なんと、この少子化時代に中学生の長女以下5人のお子さんを育てているという。

「子どもが多くて家を買うおカネはないので、戸建ての賃貸に住んでいます。池袋、練馬、と小さな引っ越しを重ねて、数年前に大泉学園に移ってきたのですが、ひと言で言えば、良くも悪くもない街ですね。保育環境は確かに悪くないし、ママ友もみんな満足してると思います」

子育てで大事なのは、すごくお洒落な街とか、大自然に囲まれてるとか、そういう極端なところじゃなくて、安定感のある土地が一番だと思うんです。そういう意味で、大泉学園町は可もなく不可もなく、適度に何も起こらない、良い街だと思います(笑)」

下校時間の親子下校時間にはそこらじゅうにファミリーの姿が

町の体育館前で、娘をお稽古ごとに連れてきたという女性にも聞いてみた。

「保育環境だけで比べたら、埼玉のほうが良いって、他所から移ってきたお母さんたちは言いますね。ウチの場合、実家が近所にあるので何かと助かる、というのが一番の理由。そうそう、娘の同級生の親を見まわしてみても、親の代から大泉学園町を離れたことがない、という人がすごく多いですよ」

少子化時代の新たな動き

通勤に時間がかかっても「郊外に庭付きマイホーム」という時代が終わり、共働きの家族が増えた今日、職住近接が理想と言われるようになった。タワーマンションはじめ、都心の住宅価格が高止まりしている背景には、そのような生活の変化がある。

しかし、さらに一歩踏み込んで、少子化・未婚化のこの時代に幸運にも子どもに恵まれた夫婦にとっては、揃って都心に通勤する必要がある場合でさえ、「仕事」より「子ども」を住まい選びのキーファクターとするケースが増えてくるかもしれない。両親から受け継いだ土地や建物がある場合はなおさらだ。テクノロジーの発展も、そうした選択を後押ししてくれるだろう。

大泉学園町の隆盛は、都心、郊外、団地、といった過去の枠組みが崩れかけていることを示す、先駆的な例なのかもしれない。

人口減少と高齢化を背景に、国のあり方が大きく変わろうとしています。定年までの安定雇用で住宅ローンを返済し、静かな老後生活へ、という人生は、とっくに過去のものとなりました。家を買うのか借りるのか、どこで、どんなふうに暮らすのが幸せなのか。

これからは一人ひとりが新しい時代の「住まい方」を考える時代。現代ビジネス編集部は昨年秋、特別企画サイト『住まい方研究所』を開設しました。皆さんが住まい方を考え、選ぶための役に立つ情報を、さまざまな視点からお届けして参ります。