2018.04.02
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「核家族化が進んでいる」は本当か? データから徹底検証

子どもの成長・発達に悪影響なのか
広井 多鶴子 プロフィール

子どもはどんな世帯で育っているか

では、子どもはどのような世帯で育っているのか。

図表5は、同じく国勢調査のデータであり、18歳未満の子どものいる世帯の内訳である。このグラフを見て、どのように感じるだろうか。

 
国立社会保障人口問題研究所の「人口統計資料集(2017改訂版)」の「表7−23」他より作成。 1955年の数値は舩橋惠子「変貌する家族と子育て」天野正子他編『岩波講座現代の教育 第7巻 ゆらぐ家族と地域』(1998年)による。
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これによると、子どものいる世帯の核家族率の推移は、次の3つの時期に分けられる。

(1)1955年から75年の20年間に、約6割から7割へと10%増加
(2)1975年から95年までの20年間は約70%で横ばい
(3)1995年から2015年までの20年間で約9%増加し、2015年は83%

確かに、高度経済成長期に核家族率は10%ほど増加したが、75年から95年までの20年間は約7割で、全くといっていいほど変化はない。そうである以上、戦後一貫して核家族化が進展したなどとはとても言えないだろう。

にもかかわらず、不思議なことに、高度経済成長期が終了し、核家族率の上昇が止まった70年代から、核家族化が進展しているとして問題にされるようになる。

 

「近居」が増えている

もっとも、1995年以降になると、再度核家族率が上昇する。現在は、およそ8割の子どもが核家族で育っている。

なぜ再度上昇したのかは別途分析が必要だが、これとかかわって、次のような興味深いデータがある。

図表6は、国立社会保障人口問題研究所が5年ごとに行なっている「出生動向基本調査」のデータを元に、「社会実情データ図録」が作成したものであり、夫婦(妻の年齢が50歳未満の初婚同士の夫婦)とその母親(子の祖母)との居住関係を表している。

そのため、父親(祖父)については不明だが、このデータからはこれまでみてきた国勢調査では分からない新たな傾向が分かる。

すなわち、国勢調査と同様、三世代同居が減少する一方で、夫婦とその母親(祖母)が同じ市区町村内に住む「近居」が増加しているということである。その結果、同居と近居を合計した数値は、2000年代に入ってからも約60%で変わらない。

次の図表7からも、近年、近居が増えていることが読み取れる。

国土審議会計画部会ライフスタイル・生活専門委員会「NPO活動を含む『多業』(マルチワーク)と『近居』の実態等に関する調査
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これは国土審議会計画部会ライフスタイル・生活専門委員会が2006年に行なった「NPO活動を含む『多業』(マルチワーク)と『近居』の実態等に関する調査」の結果である。

この調査では、「近居」を「日常的な往来ができる範囲に居住すること」と意味づけ、車または電車で1時間以内の範囲と定めている。

これから分かるのは、若い世代ほど親との同居率は低いが、近居率はかえって高いということである。

親の住居から車や電車で1時間以上離れた所に暮らしている人が多いのは、むしろ55歳以上(現在67歳以上)の年代である。

核家族は孤立した家族であるかのように言われるが、これらのデータからすると、そうした理解自体が怪しくなる。

今日の親世代は祖父母との同居は少なくなっているものの、近くに住むことで、祖父母と新たな関係を築いているものと思われる。

この点についても、次回以降、見ていきたい。

(つづく)

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