2018.04.02
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「核家族化が進んでいる」は本当か? データから徹底検証

子どもの成長・発達に悪影響なのか
広井 多鶴子 プロフィール

高度経済成長期に急速に核家族化したか

では戦後はどうか。

1950年代末からの高度経済成長とともに、核家族化が急速に進展したといわれている。確かに、図表1では、1960年以降、核家族世帯の数が大幅に増加している。

そのため、親族世帯に占める核家族の割合は増え続けてきた(図表2)。

1960年に59.1%だった核家族率は、2015年には86.7%となり、それとともに、36.5%だった「その他の親族世帯」の割合は、13.3%にまで減少する。

核家族化の進行というときは、主にこのデータが用いられるが、図表2からすると、1960年代以降の核家族化によって、今やほとんどの人が核家族世帯で暮らしているように思える。

出典:図表1と同じ
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だが、核家族の中には親と子の世帯だけでなく、夫婦だけの世帯も含まれる。図表3はその内訳である。

これによると、親と子どもの世帯(夫婦と子ども、父親と子ども、母親と子どもの合計)の割合は、1960年の54.7%から70年には59.1%へと4.4%増える。

だがその後は増えず、80年まで横ばいで推移した後、徐々に減少する。2015年は55.4%と、60年と大差ない。主に高齢化のため、夫婦のみの世帯がじわじわと増え続けてきたためである。

出典:図表1と同じ
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単独世帯が増加している

また、図表1にあるように、1960年代以降、単独世帯が大幅に増えた。そのため、単独世帯を含む世帯全体からすると、図表1、2とは全く別の結果になる。これは子どものいる世帯にはあまり関係しないが、ついでに見ておこう。

図表4は、単独世帯や非親族世帯を含めた全世帯の世帯類型の割合である。これを見ると、「その他の親族世帯」は減少し続け、いまや1割を切るようになった。

出典:図表1と同じ
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だが、核家族世帯が増えているわけではない。核家族世帯は戦後一貫して約6割で推移しており、高度経済成長期もほとんど増えていない。

2000年代に入ってからはむしろ減少傾向にある。増加しているのは単独世帯であり、高齢化や未婚化・晩婚化の影響で、単独世帯がいまや3分の1を占める。

このように、図表4からすると、戦後「核家族化」が進展したとは言えない。近年の現象は、「核家族化」ではなく、「単独世帯化」と言った方がふさわしい。

 

以上、世帯類型の推移を見てきたが、これらから言えるのは、核家族の世帯数は増加したが、割合でみると、必ずしもそうは言えないからである。分母を変えることによって、核家族化とは全く逆の結果にもなる。

しかも、これらのデータからは、幼い子どもや学齢児が育つ世帯の類型はわからない。

核家族化が進展したように見える図表1、2には、前述のように、夫婦だけの世帯が含まれるが、それに加え、成人した子どもと高齢の親からなる世帯なども入るからである。

にもかかわらず、図表1、2を根拠に、戦後核家族化が進行し、それが子どもの成長・発達に悪い影響を与えているかのように言われている。まずは、そのことの問題を確認しておこう。

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