シャネル爆買い→ホスト→整形→デリヘルバイトの先に見えたもの

【特別対談】オンナの愛と資本主義
鈴木 涼美, 中村 うさぎ プロフィール

コンプレックスとの戦いの果てに

中村 ほんと。ホストクラブに初めていったときは、中条きよしみたいなダンディーなおじさんが演歌謳いながら肩を抱いてくるような古いイメージを持ってたんですけど。てっきりホストクラブの客っていうのは、マダム系というか、ブランド物で着飾ったマリーアントワネットみたいな人ばかりかと思いきや。いざ中入ってみたら客は若いし身なりは質素だし、シャネル着てるのも40を超えてるのも私だけで。周りは「なんだこのババア」って感じで見てくるし、私は私で「なんだこの貧乏くさい若造が」って感じで。イメージと違ったんですよね。

鈴木 私が初めて行ったのはアフターでなんですけど、横浜のキャバ嬢だった時に。当時の私はマダムに加えて男に縁遠い人たちが行くっていうイメージあって。だけど実際に行ってみたら、私よりも美人がお金をバンバン使ってて、だからここでお金を使えるのってカッコいいってイメージに変わったんですよね。

 

「使える=稼げてる」っていうことで「稼げる=綺麗」っていう、いい女の方がホストでお金を使ってるってイメージを持ってしまったんです、実際はそんな単純なことでもなかったんですけど。ブスはホストクラブじゃお金を使えない、ホストクラブでお金を使えるのは美人ということから、逆説的に、お金を使うといい女になれる気がして。さらに使っても見返りを求めないのがかっこいいっていうプライドも発生して、アフターも求めず帰るっていうすかした20歳でした。

中村 私もホストにハマったのが40代だったので体力がなかったので、アフターはしなかったです。(笑)一度、映画を見に行ったこともあったんですけど、冒頭から爆睡してました。もちろん見返りを求めないのがかっこいいって思いもわかります。自分がおばさんだったっていう思いもあったんでしょうけど。

写真:村田克己

わたし、もともと年齢コンプレックスからは無縁だったんですけどね。物書きは若くて美しいことなんて求められないし、男も女もない環境なんで。作家は美人じゃなくてもいいんですよ。ただ、ホストに行くようになったせいで、突然、年齢や美醜へのコンプレックスが沸き起こってしまったんですよね。40代も半ばになれば普通の人はそんなこと悩まなくていいじゃないですか。でもホストの掲示板に「中村うさぎとかいうおばさん抱かなきゃいけないなんて可哀そう」みたいなこと書かれちゃって。で、美醜とか女としての価値がそこで初めて意識に上がってきて、だからこそ整形なんですよね。

私なりにこれまでの過程には道筋がちゃんとあるんです。最初はお金を使えなかったことへのコンプレックスがあり、次に男へのリベンジに移行してホストを金でマウンティングして、整形したのにモテない現実から自分の女としても価値を知りたいと思ってデリヘルに行く、という。足りないものを探していた、あるいは足りないものを突き付けられる過程があったんですね。