あなたが「モテない男」かどうかを一瞬で判別するこの言葉をご存じか

その知名度は一部で「ニイハオ」並み
安田 峰俊 プロフィール

運営元は摘発されていた!

そんな不思議な知名度を誇る「澳門首家」広告だが、今後に新規の動画がアップされる可能性は低い。なぜなら昨年10月末から11月初頭にかけて、台湾警察が雲林・嘉義・高雄など各地で一斉捜査を実施したからだ。

広告元のサイトを運営していた犯人グループ14人は賭博罪などの容疑で逮捕され、各地のアジトでパソコン22台と携帯電話26台などが押収された。

広告のなかでは「マカオのトップクラス」をうたっていたオンラインカジノだが、本当の所在地は嘉義市のボロいビンロウ販売店の店内。主犯は「黄」という姓の前科を持つ28歳の青年で、スポーツ賭博やネットバカラ、ネット麻雀など数十種類のオンライン・ギャンブルの運営元となっていた。

※「もうあの音声が聞けなくなる?」と揃って報じた、台湾の『アップル・デイリー』(上)と『自由時報』(中)、香港の『UNWIRE.HK』(下)。エロ動画広告の知名度高すぎである。

現地報道によれば、彼らは自サイトの広告を組み込んだ海賊版エロ動画をネット上に流して顧客を集め、サードパーティーを経由してチップを買わせ、違法なギャンブルに興じさせていた。売り上げはわずか半年間で14.3 億NT$(約51.9億円)に達し、あんなにうさんくさい広告なのに2.3万人もの会員を獲得していたとされる。

なお、スケベでバクチ好きで著作権侵害エロ動画サイトの常連という、人間としてこれ以上のクズもそうそういない「澳門首家」の会員たちは、このネットカジノで1日におよそ100万~900万NT$(約362万~3257万円)をスッていた。

犯人たちは、日本のアダルトビデオに自分たちの広告を組み込んで流し、カジノサイトを運営するだけで、半年間に7000万NT$$(約2.5億円)以上の利益を得ていたのであった。

 

捕まった理由は意外にも…

ところで、今回の「澳門首家」広告の運営元の逮捕容疑はあくまでも賭博罪であり、違法アップロード行為に台湾当局の捜査のメスが入ったわけではない。仮に彼らのシノギがネットカジノ以外なら、現在も同様の広告を打ち続けていたと思われる。

事実、違法エロ動画を利用した広告は相当な効果があるためか、台湾系のライブチャット業者など複数の中華圏の業者がすでに同様の行為をおこなっているのを確認できる。

日本でも最近、違法アップロードされたコミックを自由に閲覧できるサイト『漫画村』が、従来の広告収入のみならず有料会員を募りはじめたことで大きな非難を浴びた。

だが、既存のコンテンツにタダ乗りして荒稼ぎする手法は悪辣とはいえ、海外に拠点を置く業者(漫画村もサーバは海外に置かれている模様だ)の封じ込めは簡単ではない。運営元がマフィアまがいの組織であればなおさらだろう。

「澳門首家」事件は笑えるネット事件簿なのだが、よくよく背景を考えると笑えなくなってくる。今後もおそらく、謎の中国語広告が入った日本のアダルトビデオ映像が世界のネット上で延々と再生され続け、誰かのふところを潤していくはずなのである。