photo by istock

アメリカで平昌五輪が全然盛り上がらなかった「特殊な事情」

そして大谷過剰報道への不安…
過去最高のメダル数を獲得し、日本を大いに元気付けた平昌五輪。ところが、長谷川さんによれば、太平洋を隔てたアメリカでは、「ほとんど盛り上がっていなかった」らしい。そこには、オールシーズン、プロスポーツ観戦を楽しめるアメリカという国の特殊事情があるようだ。そして、いよいよ開幕を迎えるメジャーリーグだが、大谷翔平選手に関する過剰報道に少し不安があるという。

ショーン・ホワイトよりNBAのルーキー!

平昌五輪が閉幕して一週間が経ちましたが、テレビや新聞を見ると、フィギュアやカーリングを中心にまだまだ話題は尽きないようですね。

僕自身は、大会期間中、日本人選手のメダル獲得報道をちょこちょこチェックするという程度でしたが、おそらく多くのアメリカ人も同じだと思います。僕の周りを見ても、五輪に夢中になっている感じはなく、フィギュアやアルペンスキーに特別興味がある人が、アメリカ人選手の演技やレースを観ている程度でしょうか。

 

これはテレビ報道の日米差によるものも大きいと思います。日本の場合、どの局も注目のゲームは中継されてなお、夕方のニュースでフラッシュが取り上げられ、23時前後のニュースでまたダイジェストが流れますよね。だから多くの人の目に入りやすい。

アメリカの場合は、CSやケーブル、ローカル放送など、とにかくチャンネルが多く、さらに一斉にニュースが流れるという時間帯はほとんどない。せいぜい21時前後にいくつかの局がやるくらいでしょうか。それも日本のように「金何個とった」みたいな感じではなく淡々と結果のみを流す感じですね。

五輪は、全米4大ネットワークのひとつで放送権を独占しているNBCが、ずっと生放送をやっていますので、観ようと思えば情報はいくらでも手に入るわけです。でも自分からチャンネルを合わせないといけない。日本はテレビをつけていれば何度も目に入ってくる。そのあたりが大きな差かもしれません。さらに今回は時差もあったのでなかなか盛り上がりませんでした。

また、冬季五輪の開催はアメリカでは時期が悪い。アメリカが夢中になって観る冬のスポーツは、スキーでもスケートでもなく、バスケットボール(NBA)とアイスホッケー(NHL)です。どちらも10月に開幕して4月までレギュラーシーズンを戦うので、プレーオフの出場権争いが加熱してくるこの時期(2月〜3月)が一番面白くなります。

さらに、全米大学男子バスケットのトーナメント(NCAA Men's Basketball Tournament)が3月から4月に開催されます。これは、マーチ・マッドネス(March Madness)と呼ばれるアメリカン・スポーツの風物詩で、「狂乱の3月」とでも訳す感じでしょうか。トーナメント特有の番狂わせがバンバン起こり、ファンは熱狂するからでしょうね。その人気は、日本の甲子園に少し似ているところがあります。
だから、今はバスケット一色です。

今回の平昌五輪、スノーボードのハーフパイプで劇的な金メダルを獲得したショーン・ホワイト選手。もちろん彼の才能、努力の積み重ねと素晴らしい結果には文句のつけようはありません。しかし、全米のスポーツファンにおいては、彼よりもNBAユタ・ジャズのルーキー、ドノバン・ミッチェルの方が圧倒的に知名度が高いのです。

LAレイカーズはじめ30チームがしのぎをけずるNBA(photo by istock)

アメリカでも五輪のメダリストはリスペクトされ、騒がれはします。でも、もし今、こんな街頭アンケートを実施したとします。

「怪物と呼ばれ、五輪で累計28個のメダルを獲得したスイマーは?」

おそらく正答率は20%にも達しないのではないでしょうか。答えはマイケル・フェルプス選手ですが、五輪のスターはやはり4年に一度騒がれても忘れられてしまうことが多いのです。