なぜ1万円札は「原価24円」なのにモノが買えるか説明できますか?

仮想通貨の未来とも関係がある
佐藤 優 プロフィール

世界貨幣は、必ず金に収斂するというのが、経験的事実だ。ここで重要なのは、この過程が歴史的ということだ。論理的には、別に貨幣は金や銀である必要はないのだが、なぜかそうなってしまうということだ。

ちなみに19世紀後半に、貨幣は金に収斂した。その後、金と紙幣の交換が停止され、管理通貨制度が導入されたが、それでも各国の中央銀行は、貨幣発行の根拠となる金を備蓄している。究極的に貨幣は金によって裏付けられるという構造は変化していない。仮想通貨は、この基本構造を崩そうとするものだ。

貨幣は支払い手段として流通機能を持っていなくてはならない。ビットコインやNEMのような仮想通貨は、当初、支払い手段として用いられていた。しかし、最近、これらの仮想通貨が爆発的な人気を持つようになったのは、投機目的からだ。そうなると仮想通貨を所有する目的は、主に蓄財(貨幣退蔵)になり、支払い手段としては、ほとんど用いられなくなる。そうなると、流通が担保されなくなるので、仮想通貨は貨幣としての機能を失ってしまう。

 

誰もが、仮想通貨を持っていると、価値が上がり富が増えると思っているからビットコインやNEMは成り立っているのであり、この共同主観性が揺らぐと大暴落し、最終的には無価値になるリスクがある。

人間が人為的に作り出した貨幣は脆弱だ。論理では説明しきれない歴史的に形成された金のようなモノによって担保されないと貨幣は成り立たないのだ。

『週刊現代』2018年3月17日号より