世界的イベントを3月11日に控えた創価学会の「秘史」を明かそう

『人間革命』には書かれていない真実
高橋 篤史 プロフィール

保管されている古い資料は「非公開」

さて、その世界規模の集会に向け創価学会青年部はその意義を学ぶため10点ほどの研鑽資料をホームページ上にアップしている。そこに挙げられているのは第3代会長で現在、名誉会長を務める池田大作氏による著作の数々である。

その代表格が小説『人間革命』であることは言うまでもない。

 

創価学会は日蓮正宗と決別した後、初代会長の牧口常三郎から第2代の戸田を経て池田氏へと至る「三代会長」を神格化・偶像化してきた。もはや日蓮仏法は後景へと退き、会の中心価値となっているのは池田氏はじめ三代会長が残してきた数々の事績である。そこにおいてまるで歴史書のように扱われているのが小説『人間革命』だ。

戸田が「妙悟空」の筆名で1951年4月の『聖教新聞』創刊号から連載した『人間革命』(1957年に単行本化)、それを引き継ぎ池田氏が「法悟空」の筆名で1965年から『聖教新聞』で断続的に連載する『人間革命』『新・人間革命』は、言ってみれば創価学会の歩みを叙述したモデル小説である。

実話風の描き方は池田氏のバージョンにおいてかなり顕著で、同氏は「山本伸一」との仮名で登場するが、その他の学会関係者はすぐに該当人物が誰であるか分かるような仮名にされている。

このため学会員は『人間革命』を史実と信じ込んでおり、そこでの指導者の振るまいや言葉すべてが師匠による手本とみなされている。

例えば、前述した広宣流布記念の日にまつわる研鑽資料として示されているのは、池田氏による『人間革命』の第12巻だ。そのクライマックスで首相の出席が叶わなかった戸田は青年部メンバーを前に「創価学会は、宗教界の王者であります」と宣言する。学会員にとっては感極まる場面であり、それを胸に各自は弟子が師匠を守り抜く「師弟不二の精神」を新たにするという図式だ。

だが、当たり前の話だが、あくまで『人間革命』や『新・人間革命』は後世に創作された小説にすぎない。そこにおいて池田氏はじめ三代会長は常に正しい人物として描かれているが、本当にそうなのか。

一方で創価学会は会員から真の歴史を遠ざけようとしている。

東京・信濃町の聖教新聞社には資料室があり古い記録が保管されているようだが、それらは一切公開されていない。また、系列の創価大学図書館にしても、所蔵する『聖教新聞』は1981年以降の分だけだし、別の機関誌『大白蓮華』も1971年以降の分しか公開していない。それ以前の真の歴史を知る術はほとんどないのである。

そんな中、筆者は創価学会を取材する過程で戦前の1935年から翌年にかけて発行されていた月刊機関誌『新教』(後に『教育改造』に改題)の大半と、戦時中の1941年から翌年にかけ全部で9回発行された機関紙『価値創造』すべてのコピーを入手した。

それらについて創価学会や外郭機関は牧口による論文など都合のいいごく一部分のみしか公にしていない。残りの大半は封印してしまっており、幻の史料となっている。

それらを基に創立の1930年から戦後の1952年にかけての創価学会(前身は創価教育学会)の実像をこのほど『創価学会秘史』という本にまとめた。

今日、創価学会は「反戦・平和の団体」を標榜し、世間からもそう見られることが多い。初代会長の牧口は治安維持法違反・不敬罪で特高警察に検挙された末の1944年、巣鴨拘置所で獄死している。

創価学会はそれを軍部政府と対決した末の壮烈な最期としており、反戦・平和のシンボリックな出来事として祭り上げている。しかし、封印された機関紙誌などから立ち現れてくる実像はそれとはまったく異なる。