芸の肥やし、人生の肥やし
今回の原稿を頼んできた編集者さんが、打ち合わせのときに、「こんな事件に巻き込まれたのに、片倉さんがへこたれないのが不思議なんです」といってました。
自分としてはいつもこんな感じですが、普通はもっとクヨクヨしたりするのでしょうか? これはもしかすると、僕のこれまでの仕事経験と関係があるのかもしれません。
僕はもともと、地元の静岡で、不動産屋さんに就職しました。でも、毎日毎日「家建てませんか?」と飛び込み営業をするのが嫌で、1年足らずで辞めてしまって。しばらくは実家でニートみたいな生活をしていました。
でも、いつまでもニートをしているわけにもいかない。そんなとき、兄貴に「お前は絵が描けるんだから、東京に行ってそういう仕事をしてみたらどうだ?」といわれたんです。うちはおじいさんも映画館の看板描きでしたし、絵心がある家系みたいで。それで、本当に東京に行くことにしました。
いきなり漫画家になったわけではなくて、最初はゲームの仕事にありつきました。当時、あるアニメ会社がゲーム部門を立ち上げたのですが、運良くそこに潜り込めて。そこで「ドッター」っていって、ドット(点)で絵を描く仕事を始めたんです。
そのうち、会社の仕事とは別に、ネットで個人的な作品を発表するようになりました。そしたら雑誌でイラストの仕事をもらえて。
そのあとも、決して順調な歩みではなかったのですが、ヒットしたゲームに関わることができ、その原画を見た出版社から声がかかって、漫画家としてデビューすることになりました。そうやって、ゲームのイラストと漫画家の仕事を行き来しながら、今に至るという感じです。
ゲームの世界でも、漫画の世界でも、横並びのライバルたちから「頭一つ抜け出る」には、ということを常に考えていました。
ゲームも漫画も、人を楽しませる娯楽です。だから、自己満足ではいけないと思っています。人が興味をもつものには食らいつく、面白そうなものにはからんでく、そういう姿勢は昔から変わりません。思えば、「仮想通貨」に興味を持ったのも、そんな好奇心からですよね。
そうそう、先日、ついに僕のネムが、コインチェックから日本円で返金されました。そのときの心境は……、うーん、これでネタとしての旬が過ぎてしまったかもしれないなあ、です(笑)
今後どうするかですが、買ったときの価格からはだいぶ値下がりしてしまっているものの、しばらく取引を続けようと思っています。ここで全部売ったら、あとに何も残らないですしね。ここまで楽しませてくれたんだから、もう少し持ち続けようかなと。
仮想通貨は今となっては、僕の芸の肥やし、人生の肥やしなんです。
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