元経済ヤクザが昨年末に「仮想通貨」を手放した理由

これが仮想通貨バブルの正体だ

狂乱の続く「仮想通貨相場」。80年代バブルで修羅場をくぐり、新興株・ITバブルをはじめ多くのバブルを経験してきた猫組長氏が、仮想通貨バブル時代の投資術を説く。新著『アンダー・プロトコル』で自らの「経済活動史」をすべて記した元経済ヤクザが見抜く、驚くべき仮想通貨の未来とは――。

80年代バブルとの共通点

2018年1月16日、仮想通貨取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨「NEM」(ネム)が不正流出する事件が発生した。

コインチェック社は消費者補償を約束したものの、2月27日に政府は「仮想通貨交換事業者から返金を受けた場合は課税所得になりうる」と閣議決定。さらに同日、140人の顧客が総額4億円相当の返還を求めて東京地裁にコインチェック社を提訴するなど騒動が終息する気配はない。

また「仮想通貨」のトピックとして忘れてはならないのがビットコインの大暴落だ。昨年12月には1ビットコインが1万8000ドル(約190万円)に迫っていたが、1月に入り1万ドル(約100万円)を切る。時価総額でみると昨年12月に3271億ドル(約35.8兆円)あったビットコインの時価総額は、2月に入ると1618億ドル(約17.7兆円)と半分以下になった。

 

いまや連日話題となる「仮想通貨」。だが、その誕生の背景には深刻な国際政治の問題が関係している。鍵になったのがロシアの存在だ。

01年に起こった9.11テロ以降、テロ資金摘発を目的として国際標準の送金方法を監視、支配しているのはアメリカである。14年のクリミア危機でロシアは金融制裁対象になり、これに伴ってロシアの銀行はVISAやMASTERなどのクレジットカードすら扱えなくなった。

金融戦争で苦汁を舐めているロシアは、アメリカの金融支配の中に入らない、新たな金融システムを模索。そこで開発されたのが仮想通貨の基本となるブロックチェーン技術である。

ブロックチェーンは「分散型台帳」と訳されるが、複数の場所に同じ情報を保管するという仕組み。技術的な解説は割愛するが一般のインターネット回線を使い、高い匿名性を維持しながら事実上改ざんが不可能な、極めて高速な資金移動を可能にしたのである。ロシアと同様の思惑を持った各国も追従しているが、当然のことながら、この動きにアメリカは敵対している。

金融(ファイナンス)技術(テクノロジー)すなわち「フィンテック」と、情報技術の融合によって生み出された「仮想通貨」。NEMやビットコインなどのニュースを聞いて誤解している人が多いのだが、仮想通貨には2つのタイプがある。1つが、NEM、ビットコインなどのように投機性の高いもの。もう1つが、決済システムとして、中央銀行や民間銀行などが開発しているものである。

「13年初頭に約11万円、1000ドルのビットコインを購入していて、一切売却を行っていなかったら、約1億3500万円になる」

こんな言葉に吸い寄せられたOL、主婦、学生までもが投機に参加した。株、土地に限らずあらゆるバブルの最終局面には共通の特徴がある。驚くべき速度で売買される合計金額が上がっていくのだ。

その理由は、それまで見ていただけの一般投資家が参加してくるという単純なもの。私が経験した80年代バブルの最終局面がまさにこれで、不動産、株が競うように最高値を更新して収拾が付かない状態になっていた。

敏感な人はいち早くそこから抜け出したが、それを続伸のサインと見た人はバブルの崩壊とともに沈んでいった。当時は私も沈んだ1人だったのだが……。

「投資対象としてのビットコインはもう終焉した」

そう判断した私は、昨年11月にビットコインから手を引いている。