メリル・ストリープ、ナタリー・ポートマンらハリウッドスターがブラックドレスで集まった異例のゴールデン・グローブ賞授賞式 Photo by Getty Images

アカデミー賞で再燃「#MeTooムーブメント」はどこまで行くのか

これは一時的な社会現象ではない
辻和弘さんが映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』にて日本初のメイクアップ賞を受賞した2018年のアカデミー賞。1年で最も注目される映画の祭典では今年、受賞作の行方とともにもうひとつ注目されている題材があった。それは#Me Tooムーブメントである。

NY在住の佐久間裕美子さんがリポートする、ゴールデングローブ賞、グラミー賞、アカデミー賞のアワードシヨウで見られた#Me Tooムーブメントと、セクシャルハラスメントのこれからとは――。

そもそもどこから始まったのか

アメリカのエンターテイメント界が1年で一番盛り上がるイベントのひとつが、1月から3月にかけて断続的に行われる一連のアワード(賞)番組、ゴールデン・グローブ賞、グラミー賞、アカデミー賞だ。3つ終わったところで、今年最大の話題は#Me Tooムーブメントだった。そしてこの勢いはまだ止まりそうもない。

一応、ことの経緯をおさらいしておこう。2017年10月5日に、ニューヨーク・タイムスが大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑を、ローズ・マッゴーワンアシュリー・ジャッドなど大物女優を含む複数の被害者の証言をまじえて報道した。

2017年10月5日のニューヨークタイムズからセクハラ騒動でアメリカ中を騒がせているハーヴェイ・ワインスタイン(写真左)と告発した一人ローズ・マッコーワン。11年前のプレミアにて Photo by Getty Images

10月15日に女優のアリッサ・モレノセクハラや暴行にあったことのある女性全員が#Me Tooと書いたら、問題の深刻さが伝わるかもしれないとツイートしたことで、#Me Tooのハッシュタグが一気に拡散した。ワインスタインは辞任し(現在、当局によって捜査の対象にもなっている)、#Me Tooはエンターテイメント界から、アート界、ファッション業界、スポーツ業界、その他多数の業界に飛び火し、数え切れないほどの辞任者を出した。

#metooはこのアリッサ・モレノのツイートから一気に広まった

「私も被害にあった」が軸となった#Me Too運動に大きな転機が訪れたのは、1月に行われたゴールデン・グローブ賞の直前だった。「ハリー・ポッターシリーズ」や『美女と野獣』のエマ・ワトソン、『プリティ・ブロンド』のリース・ウィザースプーンを始めとするハリウッドのパワフルな女性たちの集団が、共同でTime's Upという団体を立ち上げを発表した。

エマ・ワトソンはゴールデン・グローブ賞でナタリー・ポートマンなどブラックドレスに身を包んだ仲間たちを誇らしく思うとツイート

スピーチの素晴らしさに大統領候補の噂も

「時間切れ」という意のこのフレーズに、女性たちに対する不当な扱いや暴力が許される時代はもう終わった、という意味を込めて、被害者の弁護費用の基金を設立し、被害者の支援を行う団体は、ゴールデン・グローブ賞に女性たち、そして賛同する男性たちに、団結の決意を表明するために黒を着て出席するように呼びかけた。

いつも華やかなドレスで埋まるレッドカーペットは黒が主流。賞本番では、アメリカでもっとも影響のある女性と言われるオプラ・ウィンフリー「素晴らしい女性たちと、フェノメナル(同じく、「素晴らしい」の意)な男たちが、もう誰も「me too」と言わなくてもいい時をもたらす指導者になるために懸命に闘っている」と演説し、スタンディング・オベーションに。盛り上がりついでに、彼女が大統領選に出馬するのではないかという希望的憶測すら出た。

次の動画はそのときのオプラのスピーチの抜粋である。