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保育園に落ちて仕事もタワマンも失いかけたバリキャリ女性の苦悩

「保活激戦区」に要注意

高層マンションが相次ぎ建設されている都心で、保育園探しが激戦になっている。毎年1、2月は認可保育園申込みの結果発表の季節だ。今年も、申込者数に対して受入数が足りない地区では、多数の親たちが保活に奔走し、認可保育園から不承諾通知(保育園に落ちたことを知らせる手紙)を受け取っている。

実は、その中にはバリキャリの妻がいる高収入夫婦が少なくない。たとえば、外資系投資銀行や大手総合商社、大手メーカーなどで働く高キャリア女性たちだ。

子育てとの両立のしやすさを考えて職住近接のタワーマンションを購入したのに、保育園に入れず、離職やマンション売却の不安を抱えているというケースもある。なぜこのような事態が起きているのだろうか。

 

保活に失敗すると地獄が待っている

「なんとしても今年の4月に保育園に入れないと。1年以内に育休期間が終わるから、来年の4月まで待てません」

品川区にある高層マンションに住む佐藤愛さん(30代女性、仮名)もそのひとりだ。大手企業に勤めていて、世帯収入は夫とあわせて1千万円を超える。

愛さんは、待機児童ワースト1の世田谷区とちがって待機児童が少なく、昔から保育園施策で評判のよい品川区をわざわざ選んでマンションを購入した。第1子が産まれ、数ヵ月育児休業を取得した。そして、昨年4月に復職しようと、認可保育園の0歳児クラスに申し込んだ。しかし、結果は全部落ちてしまった。

「私は働き続けたいし、夫の稼ぎだけではマンションのローンも払えないんです」。愛さんはかなり切羽詰まった様子だ。夫婦で6000万円代の物件を35年ローンで購入した。住居関係費は毎月20万円ほどかかり、愛さんが仕事を辞めたら返済できない。

しかし夫は仕事で忙しく、保活になかなか関わろうとしない。愛さんひとりで区の保育課に相談に行き、認可保育園に落ちたときのために、多くの認可外保育園を訪ね歩いた。愛さんは子どもを寝かしつけた後、深夜に保育園入園に関する資料を読み込み、保育園の担当者に連絡メールを書いている。

品川区は保活激戦区だ Photo by iStock

保活に失敗してタワーマンションを売却したケースもある。不動産情報サービス会社に勤めているsoraさん(30代女性)は、妊娠がわかり広い部屋に住み替えようと、中央区の湾岸タワーマンションを購入した。

新築でまだ建設中のため、子どもが1歳時の2年後に家族3人で入居する予定だった。どこかの保育園には入れるだろうと軽く考えていた。

そして迎えた1歳児クラス4月入園の保活。区の保育課にも相談したが、認可保育園には入れそうもなく、認可外保育園を探すことになった。

中央区は新規入園決定率が56%とワースト5に入っているうえ、1歳児入園はもっとも激戦である。そのときかろうじて見つかった保育園は、遠い上に交通の便が悪く、購入したマンションからタクシーでしか通えない立地にある園だけだった。

「湾岸タワーマンションに引っ越したら、毎日タクシーで保育園の送り迎えするしかありませんでした。お金もかかるし、なんてバカバカしいんだろうと思いました」

悩んだあげく、soraさんはせっかく買った湾岸タワマンを入居前に売却した。転売すれば損は出ない状況だったので、思い切って売ったのだ。それでも、マンション売買の手続きや保活にかけたコストを思うと、今でもむなしい気持ちになるという。