# アイスホッケー # 平昌五輪 # ノルディック複合

平昌五輪、スマイルジャパンの収穫・渡部暁斗が魅せた意地

選手たちの戦いは続く
松谷 誠治朗 プロフィール

スマイルジャパンの手応え

私がこの現代ビジネスで書かせていただいた女子アイスホッケーのスマイルジャパンとノルディック複合の渡部暁斗選手について言えば、望んだ最大限の結果ではなかったかもしれないが、いまの時点で出せる力は出せたと思う。

スマイルジャパンにとっては、前の原稿で「注目の試合」としてあげた2月18日のスウェーデンとの順位決定予備戦で(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54506)、DF4床亜矢可選手の劇的な延長ゴールによって勝利をもぎとったことが珠玉の成果となった。

床選手が氷上でスティックをしならせて放ったショットでパックは空中で立て向きとなり、厚さ2.54cmの刃となって相手GKの左わきにできたわずかな隙間を貫いていった。サドンデスの歓喜の瞬間だった。

スウェーデンは日本と異なり予選免除で五輪に出場できた世界ランク5位の強豪であり、そのチームに五輪の本番で勝ったことで、戦前「メダル」を口にしたことが決して夢物語ではなかったことが証明された。

この試合の1点目のゴールは「注目選手」にあげたDF2小池詩織選手、そしてアシストはFW10米山知奈選手だったのもコリア戦に続いて嬉しかった。床選手の決勝ゴールを演出したのは60分を戦い抜いた後のオーバータイムでも圧倒的なスケーティングでパックをキープしたキャプテンFW12大澤ちほ選手のラストパス。この日の2得点がいずれもDFによるものだったこともスマイルジャパンらしい勝利だった。

スマイルジャパンスウェーデンにリベンジを果たしたスマイルジャパン〔PHOTO〕gettyimages

続くスイスとの5-6位決定戦にも勝ってほしかったが、0-1で落としてスマイルジャパンの平昌五輪が終わった。この試合では、第1ピリオド3分19秒の立ち上がりで一瞬の隙をつかれ1点を失ったのが結局勝負を分けた。

大会を通じて大半の時間帯で組織的守備は機能していたのに、一つのミスから相手FWをフリーにしてしまい、何回か失点してしまったのは本当に惜しい。最終予選や大会直前の壮行試合ではそういったシーンはほとんどなかった。なぜ五輪でそうなってしまったかは反省材料と言える。

これを克服するためには、今回のスイス、スウェーデン、準決勝に進んだOAR、フィンランド、そして決勝を戦ったアメリカとカナダといったランキング上位の国々と真剣勝負で戦う機会を持ち続けることが必要になる。

前回ソチ大会以降のスマイルジャパンは、世界選手権において最上位8ヵ国で形成するトップディビジョンから陥落して2部リーグにあたるディビジョン1Aで戦う期間があり、こうした強豪との戦いの経験が少なかった。

幸い、スマイルジャパンは昨年の世界選手権と今回の五輪の成績で、来季からトップディビジョンで戦うことができる。北京までの期間、この地位で戦い続けて強豪との対戦経験を積み、彼らに勝つには何が必要かを身に着けておくことが大切になる。

そしてできることなら世界ランク4位に入り、北京五輪の本番を準々決勝進出がはじめから約束されているグループAで戦う余裕がほしい。

そのためには、このあと4年間、スマイルジャパンの戦いにメディアも注目するべきだし、スポンサーの支援も継続して行われることが必要になってくるだろう。

 

シビレた決勝

ところで、今回の五輪のアイスホッケー競技は、男女ともその決勝がものすごい試合だった。

最終日の男子決勝は、前述したように、まさかのファイナル進出を果たしたドイツと優勝候補OARの戦いとなった。

第2ピリオドを終わって1対1。このまま延長に入るかと思われた第3ピリオド残り6分39秒にOARがゴール。地力の差かと思われたそのわずか10秒後にドイツが同点ゴール、さらに3分後ドイツが連続ゴールで突き放す。

そして残り2分11秒というところでOARにペナルティー2分間の退場者が出て、いよいよドイツ優勝の「氷上の奇跡」かと思われた瞬間、GKをあげて「5人攻撃」に出たOARが試合終了まで残り55秒でなんと同点ゴール。延長に入った試合は9分40秒にOARのシュートがゴールに突き刺さり決着、OARが金メダルという、冬季五輪史上に残る試合だった。

アイスホッケーの醍醐味を凝縮したようなこの試合は、NHKの地上波で放送されていたからご覧になった方も多いだろう。

今回の男子アイスホッケーは、長野大会で世界最高峰のプレイヤーが集まる北米NHLのスターたちが参加して以来、初めて現役NHL選手の参加がなかった大会だった。そのため盛り上がらないことが心配されたが、最後の最後でそうした懸念を吹き飛ばしてくれた。