難民キャンプで人々は一体どのような暮らしをしているのか?

「難民キャンプにはカフェもある」地べたから見えたロヒンギャの現実

電気はないが、お金は流通している

ロヒンギャ難民危機の発生から約半年が経つが、難民キャンプに流入した70万もの人々の具体的な「生活」のイメージを持てている方は少ないのではないかと思う。かく言う私もそうだった。

今回、医療支援のために日本から現地入りしている国際NGO「世界の医療団(MdMジャパン)」のスタッフにインタビューを行うことで、難民キャンプという巨大な「社会」の内部の状況がより詳細に見えてきた。

情報やお金の流通、電気やガスなどインフラの状況、充満する不安を鎮める心の拠り所、そして現在と将来の状況を決定する政治的な権力の所在。

知っているようで知らない「難民キャンプ」での生活のリアル。そこは一体どのような場所なのか?人々は一体どのような暮らしをしているのか?

前編はこちら:ロヒンギャ難民キャンプで、医療支援者が見た「耐え難い現実」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54621

支援を支える様々な役割と人材不足問題

――世界の医療団(MdM)の支援にはどの国のどんな人たちが関わっているのでしょうか?

MdMジャパンの具貴香さん。ロヒンギャ難民キャンプではコーディネーターを務める

具貴香さん(以下、具): まずMdMフランスがバングラデシュ現地のGK(ゴノシャスタヤ・ケンドラ)というNGO団体と一緒に「クトゥパロン」という最大規模の難民キャンプの中でクリニックを運営しています。

私たちMdMジャパンの役割はそのクリニックと医療的なニーズのある難民の方々を結びつける「アウトリーチ」という活動です。

アウトリーチの活動自体は今年の1月に始めたばかりで、広大なキャンプ内を歩きながら戸別訪問を行い、健康状態のチェックを経て、クリニックに行くよう呼びかけたり、衛生面など日々の健康意識を高めるための活動もしています。

 

――MdMジャパンの活動内部でも様々な役割の方がいるのですか。

具: はい、まず私は「プロジェクトコーディネーター」という役割で、その名の通りプロジェクト全体を管理することが仕事です。そして、看護師の木田が「メディカルコーディネーター」といって医療に直接関わる仕事を担当しています。

木田晶子さん(以下、木田): 私の仕事の大きな部分になっているのが、戸別訪問の際に利用する質問票の設計、そしてその質問票を持って戸別訪問を行う「コミュニティヘルスワーカー」の育成です。

戸別訪問をするには人手が必要なので、現地の若いバングラデシュ人を雇用し、医療面など様々な知識を得るための事前のプログラムを受けていただいたうえで「コミュニティヘルスワーカー」として働いていただいています。この事前プログラムの設計も私の仕事です。

――「若い」というと具体的にどれくらいの年齢になるのでしょうか?

難民キャンプで現地スタッフと話す具さん(写真:MdM Japan)

具: 10代の方もいます。というのも、どの分野でも人材確保が困難な現状があるからです。キャンプのあるコックスバザールは人口が40万弱しかいないと言われていて、教育水準もあまり高くない。

そんな中で、難民支援のために各支援団体が専門知識をもつ人材を集めようとしています。すると普通にやっていたら絶対に揃わないんです。

だから、特に専門知識のない若い方まで含めて募集をし、木田が専門知識を教えたり、基準やフローを整えることでやりくりしているという状況です。

――確かに、急に現れた人材ニーズに応えるのは難しそうですね……。1月からアウトリーチを始められたとのことですが、実際にどれくらいの数の方のインタビューをしているのでしょうか。

具: この3週間弱で371人の子ども、201人の妊産婦、120人の女性(妊産婦以外)、40名の高齢者を戸別訪問、インタビューしました。