一生貧困の宿命「アラフォー・クライシス」を生んだ犯人は誰だ

「不遇の世代」の悲痛な叫びを聞け
秋山 輝之 プロフィール

不遇に絶望するしかないのか

一方、政府はこの最大の人口を持つ団塊ジュニア世代に正面から対応している。国策として、この世代を管理外になどできないからだ。

非正規労働者に対する同一労働同一賃金などの働き方改革は、まさにこの世代に手を差しのべる政策といえる。景気対策としても、税制対策としても、少子化対策としても、アラフォー世代に対する施策が、近年の労働政策の中心だったといっても過言ではない。40代の非正規雇用者を正社員採用する企業に助成金を支給する制度も、2018年度にはさらに強化される

しかし、いままで能力開発などの機会が少なかったこの世代が、助成金程度で正社員になれる(あるいはそこで能力を発揮できる)とは思えないとの批判も多い

 

人材難に悩む中小企業はたくさんあるものの、20代30代を大手企業の非正規雇用者として過ごし、きわめて限られた範囲の仕事を与えられてきたアラフォー世代が、中小企業の求める人材像とマッチする可能性は、実は高くない。半ばあきらめ、達観した雰囲気すら漂う団塊ジュニア世代に、企業側が若々しさを感じず、採用が進まなかったりすることも多い。

ではやはり、団塊ジュニア世代はこれから不遇に絶望しながら生きていくしかないのか。

筆者はそうは考えていない。見方を変えれば、組織に属さずともしぶとく生きていくスキルを身に着けてきたとも言える。高い給料を目指すよりも、生活コストを下げる生き方を産みだしたとも評価できる。確かに給与は前世代よりも減っている。給与が高いに越したことはないが、月給が2万円下がったことをもって「絶望」とまで言われたくない。

問題は、いまの状態が、多くの人に見えているようで見えていなかったことではないか。絶望の世代、クライシスといったレッテルを張り、課題・問題に名前をつけただけで対応が完了したような気になるのが一番恐ろしいことだ。

企業の人事戦略に携わってきたものとして、あらためて反省せねばならないと筆者も考えている。そして、同じく人事に関わるすべての人たちに伝えておきたい。国内企業のあいだで、小さな自社最適に拘泥して戦略を選んできた企業人事は、大局的な視点を欠いていたことをいま猛省しなくては、また違った形で失敗をくり返すだろう、と。