なぜ米軍沖縄海兵隊の事故対応は年々「劣化」しているのか

元海兵隊関係者の考察
ロバート・D・エルドリッヂ プロフィール

会話ができない関係

この悪循環を変えないと、健全な日米同盟の維持が難しいと思う。

今の状況だと、小野寺防衛大臣がすごくかわいそうだ。彼自身、相当頭にきていると思う。

それだけではない。米軍の4軍調整官と防衛省防衛局長の関係が、とても悪くなっている。噂されているのが、4軍調整官と、外務省の沖縄担当特命全権大使の関係だ。ろくに話もできず、あまり会うこともないというところまできてしまっているという。

日本側は、米軍の事故対応がまずいうえ、日常からの地元との関係構築を近年まったくやっていないことが、さらに現地の感情を悪くしているとみている。その上、時々嫌がらせをしてくると思っている。

一方、米軍の方は、日本政府は、広報的な面を含めて自分たちを守ろうとしていないと感じている。

 

このトップ同士の関係、そして先に説明した米軍と地元との関係の修復を図ろうとしても、そもそも両者の架け橋になる人が全く見当たらない。

先に説明したトラブル対応の経験者が留まっていないだけでなく、これほどまでに人材の問題は深刻なのである。

米軍側に必要な調整能力が備わらないのは、「5年ルール」以外にも構造的問題がある。海兵隊の組織は、実戦部隊と基地管理部門の2系統に6年半前から不要に分かれている。

以前は、3つの実戦部隊である遠征軍に対応する形で、3つの基地管理部門が併設されていたが、現在、2011年秋に行った海兵隊の組織再編に伴い、アジア太平洋地域をはじめ、米西海岸と東海岸のそれぞれの基地管理部門だけが一本化されている。

現地では、遠征軍の司令官が両部門のトップという形になっているが、実際の人事管理では別系統である。

例えば、筆者は海兵隊に所属していた時の肩書は、「太平洋基地政務外交部(G-7)次長」であった。つまり基地管理部門のラインである。

トラブルの調整役を担うとすればこのラインである。しかし、訓練関係のトラブルが起きるとすれば、内容によるが、大体、実戦部隊である。

問題は、現地の実戦部隊のトップと、基地管理部門のトップが必ずしも意思疎通が取れているとは言えないのである。これでは現場の行動の手足を縛ってしまう。

さらに言えば、残念ながら、同じ司令部の中でも制服は文民を信頼しない側面がある。One Team, One Fightという言い方があるが、それは実行されていない。

しかし、そもそも日本は「相手」や「敵」ではなく、パートナーである。日本政府をはじめ、基地を抱いている地方自治体は、米軍と同じチームのはずだ。

沖縄の海兵隊は、現地との関係を健全化する方向に目が向いていないと言わざるを得ない。むしろ、様々な情報ルートによれば、今年に入ってから特に悪化している。

筆者は、2015年春まで勤務したが、その間、改革案を繰り返して提示し、抜本的な解決策をその夏に図る予定だったが、透明性を重視しなかった司令官によって解任された。

それによって、その案はもちろんのこと、それ以降、まとめてきたより大胆な案は当然、活かされていない。

こうした組織的な問題、人間関係を解決しない限り、「多忙化の訓練」で発生するとされている事故の対応がますます難しくなる。

これ以上、海兵隊を保護する言い訳を止めて、問題の本質を直視して、改善の措置をとるべきだ。

そうすることによって見えてくるのが、真の強い日米同盟であり、本来あるべき「最強の友」の姿だ。そうしなければ、味方は必然的に逆に「最強の敵」になりかねない。