「福島は危険だ」というフェイクが、7年経っても県民を傷つけている

「デマ」を信じている国民がまだ半数
林 智裕 プロフィール

2015年2月には、英国のウィリアム王子が福島県を泊りがけで訪れ、地元の温泉旅館で福島県産品尽くしの食事を楽しみましたし、フランス大使館では毎年のように「フランス・福島美食の夕べ」という、福島県産品を使ったフランス料理の晩餐会を開催しています。

また、レッドブル・エアレース世界大会で昨年アジア人初の年間王者となった室屋義秀氏は福島市在住で、市内のふくしまスカイパークを拠点としています。先日は福島市内で、沢山の方々に祝福されつつ優勝パレードが行われました。

それでもなお、「福島から1時間少々で移動できるほど近い」東京都民でさえ、「福島に住むと、将来健康被害が出る」と思い込んでいる方が50%にも及ぶという調査結果は、これが2017年に公表されたものであるという事実を含めて、非常に重いものです。

 

この調査結果は、「あれだけの誤解や誤報、偏見、デマが飛び交った後では、ただ時間の経過と風化を待っているだけでは、誤った認識がそのまま定着し、偏見や差別の温床となるのを防ぐことはできない」という事実を示すものだといえます。

何よりも、そうした原因の一つとなる「福島に関するデマ」を拡散してきた「識者」たちは、なんら責任を問われることもなく、今なおテレビや新聞の取材、講演会などに大忙しです。

著名人は発言に責任を

たとえば原発事故から7年が経とうという今年1月にさえ、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』という本を2015年に出版し、「タイムリミットは1年しかない」などとデマを広げた広瀬隆氏の講演会を、土浦市とつくば市、および両市の教育委員会が後援していました(http://fukushima.factcheck.site/life/1323)。

数多く繰り返されてきた報道機関による「ほのめかし報道」だけにとどまらず、政治家や大学教授などの知識人・著名人などによる誤解の拡散も多数見られました。これらへの謝罪や訂正は、未だにほとんど見られていません。

社民党公認候補として2016年参院選に立候補した増山麗奈氏のツイート(2011年11月)
群馬大学教授・早川由紀夫氏のツイート(2012年1月)

国内でさえ、これほどのデマと偏見が野放しになっています。海外に出れば、「フクシマ」などとレッテルを貼られるだけならまだマシで、日本人全体に対して「被爆した国民だ」といった差別の目が向けられることもあるでしょう。現に、2017年3月には「放射能デマ」を原因として、韓国チェジュ航空が福島空港発着のチャーター便をキャンセルするという事件も発生しています(http://fukushima.factcheck.site/life/1397)。

いちど広がってしまった誤解を、日本全体が超党派的に協力して、積極的に解いていく必要があるのです。(そうした活動の一環として、Fact check福島というサイトを始動させました。みなさまからのご支援をどうかお願い申し上げます。http://camp-fire.jp/projects/view/30155

すでに世代を超えることが確定してしまった福島第一原発の廃炉作業のみならず、いわれなき差別や偏見まで、次世代に残すわけにはいきません。われわれの世代には、まだできることがたくさん残っているはずです。

残念ながら、これまでにも多くの時間が浪費されてしまいました。日本社会が、私達の世代が、今後この課題にどう向き合い、次世代に何を引き継いでいくのかが、改めて強く問われています。