松本人志「ネカフェ難民は、ちゃんと働いて」発言に足りなかったもの

都内に4000人もいるのは理由がある
大西 連 プロフィール

まずアパートを借りるのが大変

ネットカフェ難民の人の多くは低いとはいえ、収入はあります。

では、なぜ、アパートを借りたり、収入アップを目指した就職活動など安定的な生活に向けたアクションを起こしたりできないのでしょうか。

まず、なぜアパートを借りることができないのか。

アパートを借りるには、敷金礼金等の初期費用、保証人(保証会社利用の場合はその費用)、安定期な収入(大家さんからしたら低収入や不安定な就労状況は心配)、身分証明(住所があることなど)が必要です。

ネットカフェ難民状態で、上記のすべてをそろえることができる人は稀でしょう。特に最も懸案となっているのは初期費用で、実際に、「アパート等の入居に必要な初期費用(敷金等)をなかなか貯蓄できない」と回答した人が62.8%いました(同報告書39ページ)。

住居確保にあたっての問題
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ネットカフェ難民の人の多くは先述したように平均して11万円程度、すなわち一定程度の収入はあります。

しかし、ネットカフェ生活には実はお金が少なからずかかってしまいます。

ナイトパックのような利用料のほかに、例えば、仕事をしていれば、仕事中に自分の荷物を保管しておくためのコインロッカーやコインシャワー、コインランドリーなど、「家」がないことにより本来「家」でおこなうことのできるさまざまな機能を活用することができず、コストがかかります。

また、自炊も難しいので、すべて外食に。収入があっても貯蓄をすることは難しい、むしろ、生活を維持するので精いっぱいというのが実情でしょう(もちろん、自力で貯蓄をしてアパート生活に移行する人もいるでしょうが多くはないでしょう)。

 

「安定した仕事」にもハードルが…

次に、収入アップを目指した就職活動などをできないのはなぜでしょう。

当然ながら、例えば、正社員などの安定した仕事につくためには給料が出るまでの生活費を何とかできる、という条件が必要です。

例えば、正社員の仕事に応募したとして、面接を経て採用され、最初に給料が出るのはいつでしょうか。場合によっては、末締め翌月末払いなどだと、2ヵ月近く給料をもらえないことになります。

すると、当然ですが、その期間の生活費を貯蓄とまかなえないと良い仕事があっても応募できない、ということになります。

じゃあ、そのお金を借りればいいじゃないか、という疑問が浮かびますが、例えば、ネットカフェ難民の約4割はすでに何らかの借金(無回答を除く)をしています(同報告書55ページ)。

借金の状況
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借金がある人の平均の負債額は、消費者金融に関しては99.6万円、奨学金は272万円、知人・友人が17万円など、すでに多くの借金を抱えていることがわかります。

こういったデータからも、一度、ネットカフェ難民生活にならざるを得なくなってしまうと、なかなか不安定な雇用から抜け出すことや、住居を確保することに困難さをともなってしまうことがわかります。