松本人志「ネカフェ難民は、ちゃんと働いて」発言に足りなかったもの

都内に4000人もいるのは理由がある
大西 連 プロフィール

フルタイムで働いていても低収入

同調査ではネットカフェ難民の収入についての項目もあります(同報告書48ページ)。

1ヵ月の収入
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それによれば、全体の平均収入は11.4万円(額面ではなく手取りの金額)。

ネットカフェ難民で正社員の人の平均月収は19.6万円ですが、派遣労働者の場合は12.1万円、契約社員だと15.7万円、パート・アルバイトだと11.5万円となっています。

東京の最低賃金は932円(同調査時点)ですから、そこからわかるのは、フルタイムやそれに近い働き方をしていても、非正規で時給単価が最低賃金レベルである、ということが推察できます。

ネットカフェ難民自体は、20代から50代までに広く分布しているものの、60代以降は極端に少ないことから、働いているが非正規で収入が低い人が多い、ということが明らかです。

 

ネカフェ、サウナ、カプセルホテル、路上…

また、ネットカフェ難民の人のうち、ネットカフェのみを利用する人は4.4%で、他にもカプセルホテルを利用する人、サウナ、ファーストフード店を利用する人がそれぞれ3~4割いたり、野宿をすることがある人も43.8%いました(同報告書29ページ)。

特に、路上で寝泊まりしたことがある人のうち、週に3日以上の人は10.8%で、週に1~2日程度が57.2%と、多くは野宿経験があっても、野宿生活にならないように、もしくは、野宿とネットカフェなどを行き来している人が比較的多くいることを表しています(同報告書30ページ)。

路上で寝泊りする頻度
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このように、ネットカフェ難民の人の少なくない人が、ネットカフェのみならず、安価な宿泊施設や24時間営業の飲食店など、不安定な生活環境を転々とせざるを得ないということがわかってきています(今回のネットカフェ難民調査はネットカフェのみへの調査なので、24時間営業のファーストフード店などを含めたらもっと多くの住居がない生活困窮者がいると言われています)。

働いていて、しかも比較的フルタイムで働いている人もいて、でも収入が低くて生活が苦しい。それが、ネットカフェ難民の実相と言えるでしょう。

「でも路上で始まる方が俺はチャレンジしてる感じがするけどね。路上なら頑張るんじゃないかな」

という「ワイドナショー」番組内での発言は、こういった実態からみると、まったくあたらないのではないか、と思います。