安倍首相の愛読紙が朝日と日刊ゲンダイと思われる「これだけの証拠」

どうやらかなり熟読している模様
プチ 鹿島 プロフィール

安倍首相vs.朝日新聞

籠池氏は「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金を募っていた時期もあるが、設立趣意書には「開成小学校」と記載していた。朝日に取材されると「安倍晋三記念小学校」と答えた。なので首相は「(趣意書の)原本にあたり、裏付けを取るという最低限のことをしなかった」と朝日を批判したのだ。

この経緯を見て思うのは籠池氏のつかめないキャラクターであり、食えないオヤジぶりである。『朝日』には真実を伝えなかったのか、それとも自分も忘れていたのか?

だからこそ安倍首相は『朝日』を批判しながら「籠池氏の言うことなんて信用できるのですか?」と世に問うているようにもみえる。同時にそれは「朝日からはじまった森友学園報道も信用できますか? どうですか皆さん」とも解釈できる。この一点に集中して反撃の突破口にしたい気持ちが伝わってくる。

そのたかぶりからか、首相はフェイスブックで「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした」ともコメントした。

「『朝日新聞』の報道経緯」をじっくり読んだ感想を書くと、昨年11月に情報が開示されて「開成小学校」とわかったことを報道しなかったら確かに悪意だ。しかし11月25日付の朝刊で「森友の設置趣意書を開示 小学校名は『開成小学校』 財務省」と報じている。時系列で事実を伝えているのでこれを「朝日らしいみじめな言い訳」と言い切るには違和感がある。でも一方で、朝日の妙な冷静さにも違和感がある。

その両方の違和感について指摘したコメントがあった。

2月21日に『毎日新聞』に載った『首相、止まらぬ朝日「口撃」』という記事だ。『毎日新聞』は産経沖縄と首相&朝日について他紙でもっとも検証していた。

そこに掲載されていた橋場義之・元上智大学教授(ジャーナリズム論)の話を引用してみる。

《首相は設置趣意書の校名が「開成小学校」だったという都合のよい部分を切り取って、声高に朝日新聞をおとしめている。校名は政府が黒塗りしたものであり、籠池前理事長が以前「安倍晋三記念小学校」の名を使っていたのも事実だ。》

橋場氏は「朝日新聞の姿勢にも問題がある」とする。その理由は、

《6日朝刊の報道経緯を説明する記事は前日の衆院予算委の質疑を伝える中で書かれているが、独立した記事として経緯を読者にきちんと伝え、正面から首相に反論すべきだった。》

とある。

橋場氏が指摘するように、朝日は6日の朝刊で「報道経緯」を書いたのだが、記事の見出しは『森友 国会議論かみ合わず』だった。あくまで国会の様子を報じたという体であった。そして小見出しで「首相朝日新聞の校名報道批判」と書き「朝日新聞の報道経緯は」という後半に続けた。

やはりここは最初から「首相 朝日新聞の校名報道批判」と書き、「朝日新聞の報道経緯」を説明していれば読者はさらにわかりやすかったのではないか? もっと堂々と反論すべきだったと思う。

さて、今回の「安倍晋三記念小学校」騒動が興味深いのは、これも森友問題を象徴しているからだ。

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そもそも原点を思い出してみよう。森友学園報道の第一報はなんだったか?

『学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か』(2017年2月9日『朝日新聞』)

《財務省近畿財務局が学校法人に払い下げた大阪府豊中市内の国有地をめぐり、財務局が売却額などを非公表にしていることが分かった。朝日新聞が調査したところ、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1だった。国有地の売却は透明性の観点から「原則公表」とされており、地元市議は8日、非公表とした財務局の決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。》

第一報では籠池キャラはまだ関係ない。割引額も二の次である。では何が問題とされたのか。

「情報が非公表という不思議さ」である。

 

そのあとの一連の森友問題も「情報が公開されない」「黒塗り」「廃棄された」の連発だった。この不透明さこそが森友問題の肝であり、「開成小学校」がしばらく情報開示されていなかったことも「森友問題らしさ」なのだと思う。

だから安倍首相は「設立趣意書の原本にあたり、裏付けを取るという最低限のことをしなかった」と『朝日』を批判すると同時に「財務省は私の潔白を晴らすためにすべての森友情報をなぜ速やかに公開しないのか」と財務省も叱るべきなのだ。

今回、安倍首相は国会で『朝日新聞』を名指して批判したが、特定のマスコミ媒体批判は初めてではない。伝説の舌戦が4年前にあったのである。「安倍首相vs.『日刊ゲンダイ』」だ。当時の記事をみてみよう。