AV女優になるため整形。風俗から抜け出せない「元女子大生の現実」

地味なタイプの女の子がなぜ?
中村 淳彦 プロフィール

「初任給だとそんなに安い給料じゃないみたいだけど、私からしたらすごく少なかった。だからもっと稼げる風俗を専業にした。昼だけの普通の仕事じゃなくても、働こうと思えば仕事はいろいろあって、なにをしても生きていけるって分かったし、将来もあまり真剣に考えていない。

関西にいてもしょうがないと思って、スカウトに出稼ぎを頼んで西川口のソープを紹介してもらった。それが、一昨年10月。姉には適当なことを言って部屋を出て上京した」

 

「出稼ぎ」とはここ数年で流行る風俗嬢の働き方だ。居住地とは違う地域の店に10日から20日程度という短期間の出稼ぎをする。女性には地元を離れるので仕事がバレない、短期間集中して働けるというメリットがあり、人材確保が難しい地方のソープや本番店は出稼ぎ風俗嬢なしには運営ができない。各地のスカウトマンが女性と地方風俗店の仲介をしている。

「出稼ぎ先は埼玉の西川口の大衆ソープです。60分1万1000円のバックで、月80万円~100万円くらい稼げた。保証をつけたら変なお客さんも相手にしないといけないって言われたから保証はやめた。

仕事しかすることなかったし週5、6日働いた。出勤してから最後まで貸し切りにしてくれる太客がひとりいて、ずっと私を指名してくれました。

太客の払いは1日10万円程度で週2日くらいお店にきてくれたし、土日は裏引きもやってくれたからすごく稼げた。私だけに月50~70万円は使っていたかな。埼玉は稼げるし、居心地がいいからそのまま姉の家には帰らなかった」

保証とは風俗店が女の子を呼ぶとき、一日の最低金額を決める制度だ。出稼ぎでは女性のクオリティーによって2万円~7万円の最低保証額を決めて受け入れるのが一般的で、店は最低限その金額を超えるようにお客をつける。

「その太客は、客だった今の彼氏と付き合ったのがバレて離れちゃいました。でも恋人ができたから、もういいかなって思って。それが去年の2月です。

身バレが嫌で風俗嬢になってからは、誰かと付き合うってことはしなかったけど、一人で知らないところに来たし、付き合っちゃいました。彼氏は38歳の独身で自営業をやっている人です。去年2月から今までは半同棲で、店をやめて欲しいって言われたので、お小遣いを月20万円もらって暮らしています。生活には困ってないけど、暇だし、全然面白くないです」

朝起きて彼氏を送りだして、二度寝。昼頃起きてランチを食べて、ジムに行く。疲れない程度にダラダラと泳いだり、筋トレしたりして帰宅して夕飯をつくる。帰ってきた彼氏と一緒に食事をして寝る、そんな生活だ。

平穏だったが、時間があり余った生活に飽きてしまい、2ヵ月前から彼氏の目を盗んで携帯で高収入系の求人を探すようになった。そこで見つけたAVプロダクションに、先日応募したという。AV業界は極端に女性が余っている状態で、かなりの容姿に恵まれていない限り、女優として採用されることは滅多にない。

宇野さんは面接で「君は難しい」と即答で断られたという。

「面接したプロダクションからは、整形したら企画くらいだったら出ることができるかもしれないって言われて。暇だし、彼氏からもらう20万円の小遣いだけじゃ足りないから、AV女優になるのもいいなって思って。出たいなら顔を全部整形しろくらいの勢いで言われて、することにした。整形代は200万円。先月から彼氏に内緒でソープで働き始めて、お金を払いました。明後日、手術です」

AVプロダクションは、どこも美容整形外科と提携している。昔はプロダクションが投資として女性の整形代金を支払ったり、費用を貸したりしていたが、現在はすべて女性の自己責任、自己投資である。本人の判断で整形をして合格点を超えたら、仕事を紹介するというスタンスだ。

「20万円じゃ奨学金を返して、洋服を買ったらなくなっちゃう。貯金もできないし、もっとお金がないと不安です。いつか彼氏に切られるかもしれないし、彼氏だけを頼って生きるわけにはいかない。だから、AV女優になるために整形するの。

別に単体じゃなくていいし、何本も出なくていい。AV女優っていう肩書きさえもらえれば、高級店で働けるし、箔が欲しいだけ。AV女優になったら、今の彼氏よりももっといい小遣いをくれる彼氏が現れるかもしれないし」

宇野さんの現在の容姿は、AV女優の合格ラインには遠く及ばない。客観的に見ればやキャバクラの高級店で採用されるのも難しいだろう。

「昼職もいいかなと思って、この前大手企業の派遣社員をやってみたけど、仕事はつまらないし給料も安いから、すぐ辞めた。もう値段の高い風俗で働くとか、いいパパを見つけるとか、そういう目標しか浮かばないです。

楽に稼いで儲かって、チヤホヤされたい。月100万円とかくれれば、結婚してもいい。だから今は頑張って整形して、準備するの。そのためのソープ再開だったし、今日もこれから出勤だし」

整形後の宇野未来さん(仮名)

将来の自立を考え親の援助なく大学に進学、学費のために風俗に足を踏み入れた元女子大生は、卒業して2年、見知らぬ関東の土地で整形して逆転を狙うという無謀に挑む。

10日後、手術後の写真を送ってもらった。目が不自然に大きくなり、二重瞼になった彼女が写っていた。不自然な化粧の印象も重なって、さらに風俗嬢として磨きがかかっている。

取材から2ヵ月以上が経ち、この原稿を書いている。彼女がAV女優になった、高級店に採用されたという話は聞かない――。