チベット探索中、中国人官僚の高級車に乗せられた結果…

中国一の「危険地帯」かもしれない
青山 潤三 プロフィール

失われた「天上の花畑」

前述したように、初めて理塘を訪れたときは夜間で、雅江〜理塘間は、漆黒の闇の中を4~5時間走り通しました。完全な漆黒の世界です。ごくたまに、車や家の灯りが、うっすらと亡霊のように浮かび上がります。

この時、周りが見えなかったため、筆者は谷底を走っているものとばかり思っていました。しかし、後に同じ道を昼間に走ってみると、ほとんどが4500m前後の高原だったことが分かりました。

今回山火事が起きたという「八角楼郷」は、雅江県の東端、康定寄りの標高4600mの峠の下方です。そのどん詰まりにある川の源流付近(標高約3800m前後)には、素晴らしいお花畑がありました。

ある年には、雅江の町を拠点として、丸2日間そこへ撮影に通いました。その草原に生える200種近くの植物を、手あたり次第に撮ったことを覚えています。

自生地とは思えないほど美しい花畑

お花畑といっても、いわゆる高山植物の野生地ではなく、日本の田畑に生える雑草と同じ仲間の野生種が大半です。専門的な話になって恐縮ながら、日本の田畑の雑草は「2次的な植生」(もともとあった植生ではない)ですが、ここではそれが「天然に」成立している点が貴重でした。

しかし残念なことに、その翌年に再訪したところ、草原自体が無くなってしまっていました。新しい山岳ハイウェイの建設が始まっていたのです。

最後にこの場所へ足を運んだのは今から4年前ですが、その時にはもう、どこにあったかわからないほど、川辺のお花畑は完璧に破壊されていました。