学生の就職活動が本格化している。人気企業ランキングをみると、商社や銀行などが上位を占め、新聞やテレビなどマスコミは完全に圏外に去った感がある。もう「ジャーナリスト志望」などという学生はいないのか。
私が新聞社を志望したのは半世紀近く前だが、当時はマスコミ人気が高かった。いまや、その面影はまったくない。たとえば「キャリタス就活2018」の総合ランキングでは、ようやく50位に日本放送協会(NHK)、51位に講談社が入っただけだ(https://job.career-tasu.jp/2018/guide/study/ranking/)。
新聞となると、朝日新聞が87位、読売新聞が160位で、あとはそれ以下である。テレビもNHKの次はフジテレビジョンの157位だった。「もしや見落としたのかも…」と思って3度、見直したが、やはり間違いなかった。
これほどマスコミ人気が凋落したのは、なぜなのか。すぐ思い当たるのは、一連の「フェイク報道」の影響である。ところが、この調査に限れば、調査時点が2017年2月1日から3月31日にかけてなので、モリカケ問題の影響とは思えない。
マスコミ人気はここ数年、ずっと凋落している。たとえば「Rakutenみん就」の2013年度新卒就職人気企業ランキングをみても、トップ10にマスコミは1社も入っていない(https://www.nikki.ne.jp/event/20120210/)。フジテレビジョンが26位で最上位だった。新聞は100位までに1社もなかった。
となると、これは構造的な問題である。なぜマスコミの人気がないのか、信頼できそうな調査が見当たらないので、想像するしかないが、学生には「マスコミという業種は社会の中軸から外れている」という認識があるかもしれない。
社会の真ん中にいて、しかもかっこいいのは、たとえば商社や銀行、航空会社、旅行会社といったイメージである。そもそも「人にズケズケと嫌がる質問をして、それを記事に書いたり放送するのは下品な仕事」くらいに思っているのではないか。
たしかに、そういう面もある。フェイク報道問題は人気凋落に拍車をかけるかもしれない。「もう新聞、テレビじゃない。ニュースはネットとSNS」という感覚もある。経営だって安泰とはいえない。全国で新聞の部数は年間100万部も減っている。
だから「マスコミ就職なんて眼中にない」という読者はこれ以上、読む必要はない。以下は「それでもジャーナリストになりたい」という学生向けの、私の体験的助言である。「そういう学生もいてほしい」という、ささやかな願いもある(笑)。