「外国語の学び方を学ぶ」とは?

前述の8年生の教師に、授業で心がけているポイントを聞いてみた。

・何度も聞き、シャドーイングを繰り返させる。
教材の英文や単語は、画面を通してネイティブの発音を繰り返し聞かせる。そして、同じように発音できるまで繰り返し生徒たちに発音させる

・自分のことを話すことを意識させる。
~先ほどのシャドーイングは誰かの言葉のまねになるが、自分自身の言葉で話すように仕向けている。話のトピックは、自分のことや家族のことなど、身近な話しやすい題材を選ばせる

・生徒が話すことを怖がらないように意識して指導する。
~オランダの子供にとっても、知らない言語を話すのは勇気が必要。その恐怖を取り除くために、英語を話すのは楽しいことだと意識して伝えている

 「中核目標」とも重なる部分が見受けられ、かつ生徒の英語に対する積極性を育むような意図を感じ取れる。

ここまで見ると、基本的に「楽しく(学び方を)学ばせる」「興味を持たせる」ことがオランダの英語教育のポイントだと分かる。だからこそ、子どもたちが興味のあるテイラー・スウィフトのようなポップソングが教材になるのだろう。そして「学び方」を自然に学んでいるので、英語だけに留まらず、子どもたちが将来他の外国語を学ぶ時にもこつを流用できるのだ。そういった姿勢が、「非英語圏でナンバー1ともいえる英語力」を育んでいっているのかもしれない。

日本に応用する場合、歌が恥ずかしければ、子どもたちに人気の英語映画を教材にするのもいいのかもしれない。「英語の勉強化」は極力避け、子どもたちにとって英語の楽しさ、便利さを印象付けていって欲しいと思う。

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小国ならではのたくましさ

そしてもうひとつ筆者が気が付いたことは、オランダの社会にとって外国語の習得が不可欠であるということだ。人口約1700万人、九州程度の国土しか持たない小国オランダは、内需だけでは経済を維持できないのだ。オランダ経済にとって、外需に頼る部分が大きい。実際、そんな小国にも関わらず、農作物の輸出額ではアメリカに次いで世界第2位になっている。 

オランダの花き農家の温室の様子。オランダの農作物の輸出額トップは花き栽培品 写真/倉田直子

筆者が話を聞いた8年生の教師も、「我々が英語を話さなければ、誰もオランダ人の言うことに耳を傾けてはくれないから」と自嘲気味に語っていた。けれど小国であるというハンディキャップに甘んじず、世界一の英語力を身に着け、外需を取り込んでいくオランダ人の姿は非常にたくましく見える。

日本でもこれからの子供たちには、「英語との文法的な相違」にめげず、こういったたくましさを発揮していってもらいたいと切に願う。

次回は、オランダの小学生は、どのように進路を決めるのかということに触れていきたいと思う。それはシビアでありつつも、日本の受験戦争とも学区での自動的な進学とも全く違う、驚きのシステムで行われていた。
 

倉田さんがリポートする「オランダが世界一の教育と呼ばれる理由」シリーズ第一回「教育費無償」についてのリポートはこちらhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/53895
第二回「飛び級や留年が当たり前の教育」についてはこちらhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/54163
第三回「まったく新しい小学校担任制」についてはこちらhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/54323