〔PHOTO〕iStock
# 哲学 # 本 # 愛

なぜ人は「不幸な恋愛」に走るのか? 『嫌われる勇気』著者が分析

待望の「愛とためらいの哲学」
芸能人の不倫報道や、若者の恋愛離れなど、「愛」にまつわる暗いニュースが絶えない。本来は幸福をもたらすはずの「恋愛」が、なぜ不幸をもたらしてしまうのか。
『嫌われる勇気』著者、岸見一郎氏の新刊『愛とためらいの哲学』(PHP新書)より、なぜ人が苦しい恋愛をしてしまうのかを分析した箇所を特別公開!

ためらう理由はいくらでも見つかる

恋愛や結婚をためらう理由はいくらでも見つけることができます。

親の結婚が不幸なものであったことを、結婚をためらう理由にする人がいます。この場合、親の結婚が不幸だったので結婚をためらうようになったのではありません。親の不幸な結婚を、結婚をためらう理由にしているだけです。

恋愛や結婚をためらう理由として持ち出されることは、親の不幸な結婚の他にもいろいろなものがあります。病気、神経症、過去に経験した大きな災害、事件、事故、幼い時に親から受けた虐待などなど……。これらを、愛や結婚生活がうまくいかないことの理由として使うのです。

〔PHOTO〕iStock

もちろん、このようなことがまったく影響を与えないわけではありません。しかし、同じ出来事を経験した誰もが同じ人生を送り、同じように対人関係で躓くわけではありません。

恋愛や結婚がうまくいかないのは、今現在の対人関係をうまく築けていないからであり、過去に経験したことが原因ではありません。

今の関係がうまくいっていないことの原因が過去の経験にあるとするならば、関係を改善するためには過去に遡り、経験したさまざまのことをなかったことにしなければなりません。

しかしタイムマシーンがない以上、今の問題は決して解決できないことになってしまいます。

 

過去のことを持ち出すのは、恋愛や結婚がうまくいかなくなった時に、その原因が自分にはなく、自分には責任がないと予め主張したいからです。

自分に責任がないのであれば、恋愛や結婚が思うようにいかなくても、他の人に負けたことにはならないと考えることができるからです。

本気で関係を改善したいと思っているのであれば、過去に問題の原因を求める考え方から脱却する必要があります。