第三次世界大戦に本気で備える「プレッパー」たちを知っていますか

米国だけで数百万人います
真鍋 厚 プロフィール

「サバイバル」と「町内会」の二極化

そのような段階に至ると、恐らくプレッパーのようなできる限り外部のシステムに依存しない自律的なコミュニティと、先の自治会に典型的な行政の下請けのような他律的なコミュニティに二極分化していくことが予想される。いずれにせよ、わたしたちは選択を迫られる。

そこでは(「個人化」の代償として)「選択しない」ことや「無視する」ことも、自ら望んだ「選択」であり「意思表明」となってしまう。

すべてを金で解決できる経済的に裕福な人々であれば、このような不安から無縁だと思われるかもしれないが、コミュニケーションによる「心の平安」という前述の視点から見れば、誰もが直面せざるを得ない問題であることに気付くはずだ。

高級マンションで何不自由ない生活を送っていても、社会的孤立は心身の健康を蝕む大きなリスクとなる――「経済の貧困」ではなく「関係の貧困」が焦点化される――からだ。

2017年の米国心理学会の年次総会で発表された米国ブリガムヤング大学の研究チームの分析によると、社会的孤立や孤独な人が早死にするリスクは、そうではない人に比べて5割も高かったというデータもある(*4)。

 

自分にとって居心地の良いコミュニティの重層的な関係性から、「心の平安」という恩恵を享受できることは誰もが了解できる共通認識であると思われる。それゆえ、〝お上〟が「あるべき地域社会」での役割を押し付けるような参加の強制も、「個人化」に伴う困難から通常の社会生活が営めなくなるような最悪の事態も避けたいはずだ。

そうであるならば、自衛の手段としてのコミュニティの可能性を見極めつつ、家族、企業、地域、宗教などの個別カテゴリーの今後について、わたしたちはもっと思考を深めていくべきではないだろうか。

コミュニティの衰退について無関心を決め込むことは、わたしたちが国家と市場からの直接的なダメージにさらされることを甘受し、結局のところ自分自身の首を絞めることにしかならないからである。

                                 (つづく)

〈参考文献〉
(*1)伊豫谷登士翁・吉原直樹・齋藤純一『コミュニティを再考する』平凡社新書
(*2)〝世界の終わりに備える「プレッパー」たちに変化が〟(2017年6月10日、ギズモード・ジャパン)
https://www.gizmodo.jp/2017/06/prepper-con-2017-apocalypse-survivors.html
(*3)ジグムント・バウマン、奥井智之訳『コミュニティ 安全と自由の戦場』筑摩書房
(*3)〝英政府、「孤独担当大臣」新設 殺害された議員の仕事継続〟(2018年1月18日、BBCニュース)
http://www.bbc.com/japanese/42728308
(*4)〝孤独による死亡リスクが高まる=米国〟(2017年8月16日、ロイター)
〈映像資料〉
https://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20170816_01220170816
『プレッパーズ~世界滅亡に備える人々~』(原題:Doomsday Preppers)シリーズ第10話「災害は待ってくれない」ナショナルジオグラフィック(TV)