大手メーカーの採用担当者が言う。
「ウチは昔から、旧帝国大学、早慶、それからMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政のいわゆる私立2番手群の大学の総称)の順で優先的に採用し、それ以下の偏差値の大学とは明確な差をつけてきました。
MARCHの学生は、派手さはないけれど手堅く仕事をこなす、しっかり者というイメージで配属後の評判もよかった。
だけど、最近は学生のレベルが全体的に下がっていて、面接時の感触としては今の早慶の学生の質が、昔のMARCHの学生と同じくらい。
もはやMARCH出身というだけでは能力の保証にはならない。このまま学生の劣化が進むのならば、早慶を足切りラインにせざるを得なくなります」
いま、早慶はもちろんのこと、東大ですら、いとも簡単に入試を突破できる時代が近づいてきている。
この、大学レベルの全体的な低下によって一番ワリを食いそうなのが、MARCHの学生たちだ。
ここ近年、MARCHの各校は順調に志願者数を伸ばしてきた。とりわけ、'17年の志願者数で全大学中2位の法政、4位の明治はともに10万人を超えている。
昨年11月には、大手予備校・河合塾が発表した偏差値ランキングで、立教大経営学部が早慶の看板学部と並ぶ67.5という数字を叩き出し、受験業界のニュースになった。
大手予備校の入試情報担当者が言う。
「少子化による大学進学者数の減少で、従来の日東駒専(日本大・東洋大・駒澤大・専修大)志望者層の上位なら、MARCHが狙えるようになりました。それなりに受験勉強を頑張れば無理せず手が届くという立ち位置が受験生の人気を集めたのです」
東大や早慶は無理でも、MARCHなら、手が届く。それでいて、社会からは「良き中堅層」としての評価を手に入れられ、「あいつは●▲大学出身だから……」といった悪意ある「学歴フィルター」にひっかかることもない。
中でも明治は女優の井上真央や北川景子、元NEWSの山下智久といった芸能人の受け入れに積極的で、受験生へのイメージ戦略に余念がない。