東大に入るのは随分簡単になったのに、就職は困難になったという皮肉

激変! 「少子化ニッポン」の大学
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学歴と就職が無関係になる

そんな時代の流れを考慮してか、東大は'16年度より推薦入試制度を導入した。厳しい受験勉強をしなくても、推薦で入れるなんて夢のようだと一瞬考えるかもしれないが、実際には3年連続の「定員割れ」。なぜなのか。

「東大の推薦入試は募集条件が非常に厳しい。数学オリンピック出場が条件の1つにあるが、利用する人がほとんどいません。こういう数学秀才は、普通に受験しても合格できますから」(前出・小林氏)

その条件の厳しさには賛否両論あるが、学生の総数が減ればそのぶんハードルを下げざるを得ない。やがて推薦枠が東大に入るいちばんの「近道」になるのかもしれない。

それでは、簡単に入れるようになった東大に、学生は魅力を感じるのだろうか。

ここでネックになるのは、東大生の就職率が偏差値に見合わず芳しくないことだ。これまで、「東大卒」という肩書を手にすれば、企業のほうから引く手あまた、まさに勝ち組だった。

それがここ最近、「東大生はアタマはいいかもしれないが、採用しても役に立たない」というような声が上がることも少なくない。

「東大の弱点は日本社会の弱点と同じで、同一性を重視してチームワークで物事に取り組むことを学生に推奨するきらいがあるところです。

東大を中退して起業する人が増えたように、東大という学歴を足場として出世しようとする学生も少なくなってきました。学生の価値観の多様化を、いまの東大は吸収しきれていないのが現状です」(前出・木村氏)

 

'16年度に東大を卒業した学生の就職率を見ていく。大学公表のデータによると、文系学部の卒業者総数から進学者の人数を引くと1071人だが、就職者数は790人で、就職率は73.7%となる。

全体の大卒就職率が97.6%であることを考えると、かなり低い数字であることがわかる。

日本特有の詰め込み型受験勉強ばかりしてきた学生が、社会にアジャストできるように支援してくれるほど、東大の懐は広くない。

「仮に東大に入学したとしても、誰もがいい人生を送れるかはわかりません。東大はシビアな大学で、研究者として活躍できるトップクラスの学生には手厚い支援をしますが、それ以外の学生には特に手をかけることが少ないんです」(前出・亀井氏)

本物のエリートは海を渡り、集まってくるのは一段レベルが落ちる学生ばかり。しかも、彼らの将来は保証されない。絶対的と思われていた東大の威厳も、人口減少によって失われていく。

「週刊現代」2018年3月3日号より