それもそのはず、共和党の議員の大多数が、多かれ少なかれNRA(全米ライフル協会)から政治献金を受け取っている。その内容は、数千ドルから、最高774万ドル(アリゾナ州のジョン・マケイン上院議員)まで幅広い。また先の大統領選挙においては、ドナルド・トランプの選挙活動に1100万ドル以上、ヒラリー・クリントンへの反対活動に2000万ドル弱、計3100万ドル(およそ32億円)を計上している。

ギャロップ社の調査によると、昨年10月時点で、60%が銃規制の強化を支持しているにもかかわらず、改革が進まないのはそのせいだ。それどころか、トランプ大統領は、2017年2月にオバマ大統領が導入した、精神疾患者の銃購入を防ぐための法案を廃止していた。

2月15日にフロリダ銃乱射事件を受けてトランプ大統領が会見。しかし銃規制についての言及はなかった Photo by Getty Images

銃は、中絶の是非と並んで、この国を深く分断する問題のひとつだ。特に南部を中心に、共和党支持基盤の多くでは、自衛権を保証する憲法修正条項第二条は、「銃を持つ権利」として強く信じられている。

この問題について考えるとき、いつも思い出すエピソードがある。2008年に初めてアメリカ一周をしたときに、ミシシッピ州で、空中から農薬を散布するビジネスを運営する家族を訪ねたことがあった。彼らの家の入口には、「セカンド・アメンダメント(Second Amendment=第二条項)」と書かれたステッカーが貼ってあった。銃を持っている、ということなのだとすぐに気がついた。

選挙の話に水を向けると、一家の息子は「オバマはベイビーキラー(胎児殺し)だ」と言った。「あいつは俺たちの銃を取り上げるつもりだ」。「なぜ銃が必要なんでしょう?」と聞くと、「誰かが襲いにきたら、誰が俺たちを守ってくれるんだ?」という答えが返ってきたので、「そういうことは起きるんですか?」と聞くと、黙り込んだ。この国には、銃を持つ権利を守るために、決して、民主党の候補には投票しない人たちが、いつも存在している。そしてこういう人たちが、トランプ大統領の、また共和党議員たちの支持者なのだ。

「今度こそ」の願いは届くか

マージョリー・ストーンマン・ダグラス校で続けられている抗議運動や、3月24日に行われる抗議行進を、トランプはどう受け止めるのか Photo by Getty Images

事件から1週間弱が経った今も、北部から、今度こその銃規制を求める声が激しく上がっている。また悲劇の現場になったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校は、学生たちによる抗議運動の現場になっている。共和党側からも、銃規制を求める声もわずかながら上がるようになっている。今度こそ、もう長いこと、精神疾患を患っていると目されていた19歳の若者が、何の問題もなくライフルを購入でき、それによって17人もの若い命が失われたことに、さすがの政治家たちも目が覚ますのではないかと期待する気持ちもある。

マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校では、銃規制を求める集会が開かれ、学生のひとりであるエマ・ゴンザレスによる涙ながらのスピーチがインターネットを駆け巡った。2月17日には、同校の有志5人がメディアを通じて、3月24日に銃規制を求める全米規模の抗議行進の開催すると発表し、市民の参加を呼びかけた。

https://www.cnn.com/2018/02/17/us/florida-student-emma-gonzalez-speech/index.html

けれど同時に、NRAから献金を受ける政治家たちによって、銃のアクセス問題を、トランプ大統領のツイート同様精神疾患対策や学校の安全強化の議論にすり替えようとする動きが、すでに見られている。遅々として進まない銃規制の議論の背景には、こうした事情があるのだ。