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まさか!明治時代のカレーに使われていた「驚きのお肉」

けっこう美味しいらしい

日本初の「カレーのレシピ」には…

いまや日本の「国民食」としてすっかりお馴染みのカレーライス。エスビー食品の調べによれば、日本人は一年に約76回、つまり、週に1回以上は、何らかの形でカレーを食べているという。

一般的な日本式カレーの具と言えば、ニンジン、ジャガイモ、タマネギといった野菜に、牛、豚、鶏の肉が定番。ところが、カレーが日本に伝わった明治初期には、今とはまったく異なる驚きの具材が用いられていたのだ。

カレーの製法に関する日本最古の文献資料である、明治5(1872)年刊の『西洋料理指南』。この本には次のように記されている。

「葱一茎生姜半箇蒜少許を細末にし牛酪大一匙を以て煎り水一合五勺を加へ鷄海老鯛蠣赤蛙等のものを入て能く煮後にカレーの粉小一匙を入煮る」

注目すべきは「赤蛙等を入れて」という箇所。当時のカレーの作り方を要約すると、ネギ、ショウガとニンニクのみじん切りをバターで炒めて水を加え、ここにエビやタイ、カエルなどを入れて煮て、その後カレー粉を加えるとある。つまりカレーの具材にカエルの肉が採用されていたのだ。

なぜ、牛肉や豚肉は使われなかったのか。背景にあったのは、はるか昔の675年、仏教の普及と共に発せられた、天武天皇による「肉食禁止令の詔」。牛、馬、犬、猿、鶏のいわゆる「五畜」の肉食禁止の習慣が、明治初期にはまだ厳然と効力を発していたのである。

 

そこでカレーの具材として提案されたのが、カエルだった。というのも、カレーを日本に伝えたイギリス人たちの多くは、日本と同じ漢字文化圏の中国人を仲介者として伴ってきた。

彼らの多くは、当時イギリス領だった香港を中心とした中国南方出身。かの地では、カエルを食べる文化が根付いていたため、肉食に制限のある日本でカレーを伝えるにあたり、カエルを使うアイディアを考案したとされている。

さて、肝心の味だが、意外にも美味だったとか。イギリスでは、晩餐会のディナーの一品だったというから驚きだ。(栗)

『週刊現代』2018年3月3日号より