突然1億円の請求が…「負債相続」故人の借金に苦しむ人が急増中

あなたは大丈夫と言えますか?
椎葉 基史 プロフィール

「相続放棄」は増え続けている

「相続」の対象は、「プラスの財産」だけではない──。この現実に、今多くの人が苦しんでいます。

その人たちが「相続」してしまったもの、それはあらゆる種類の「負債」、平たく言えば故人の「借金」です。全ての相続を放棄する、「相続放棄」の件数は、平成元年以降増え続け、平成14年に相続税納税者の数を上回って以降も、さらにその数を伸ばしています。平成27年は税制改正により、相続税納税者が約23万人と大幅に増えたために、その人数自体は再び逆転しましたが、「相続放棄」の件数も約19万件に達しています。公正証書遺言件数が約11万件ですから、それに比べても圧倒的に多いのです。

相続税納付者と相続放棄件数(最高裁司法統計・国税庁統計資料より作成/『身内がなくなってからでは遅い「相続放棄」が分かる本』より
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もちろんこの中には、「資産の放棄」も含まれてはいますが、それはごく一部であり、この数字のほとんどは「負債相続の放棄」の数だと言えます。
つまり、「相続放棄」の件数の増加には、「負債相続」の件数の増加という背景があるというわけなのです。

たとえ「負債相続」をせざるを得なくなっても「相続放棄」をすれば、負債を背負う責任から逃れることはできます。「相続放棄」とは、プラスの財産の相続もマイナスの財産の相続も同時に放棄することなので、プラスの財産も相続できない、ということにはなりますが、少なくとも故人の借金に苦しめられることはありません。

もちろんそれによって債権者の側にしわ寄せがいきますから、その数が増えていることは社会的には決して喜ばしいことではありませんが、相続する人の立場からすれば、「相続放棄」は非常にありがたい制度だと言えます。

ただし、問題は、「相続放棄」ができずに、莫大な負債をそのまま負ってしまう人たちがいるということです。

それは「相続放棄」案件が増加していること以上に深刻な問題であるにもかかわらず、あまり表に出ることがないために、その具体的な件数や実態が広く知られることはないのですが、その数は間違いなく増加しています。

実は相続放棄には、申し立ての期限等の一定のルールがあり、そのルールを満たせずに泣き寝入りしてしまうケースが後を絶たないのです。私の元でもそういった方々からのご相談が年々増え続けています。

彼らは社会的に放置され、その結果、適切な支援を得られずに、途方に暮れ、なかには自己破産や、最悪のケースでは自殺という不幸な状況に追い込まれた人さえいます。その事実に果たしてどれくらいの方が気づいているのでしょうか。

「負の遺産」からあなたやあなたの家族を守るのは正しい知識です。私の本がその一助となれば、こんなに嬉しいことはありません。

「社会の陰に光をあてる」を司法書士としてのモットーとしているという著者が、熱い思いで負債相続の恐るべき実態から、様々な具体例、相続負債で泣かないための対策を詰め込んだ一冊だ。