「ゲームを止められない」が今年から病気になる事情

医者には治せないんだけど…
美馬 達哉 プロフィール

薬物依存とプロセス・行動依存

じっさい、現在の精神医学では、ギャンブルやゲームへの過度な熱中はたんなる自制力の欠如や衝動性がコントロールできない状態には留まらない特殊で病的な状態と考えられている。

それらは、アルコール症のような依存(嗜癖)の一種であって、ギャンブルやゲームという行動やプロセスに悪循環的に引き込まれて逃れられなくなっている状態だというのだ。

言い換えれば、依存症という大きなくくりの中に、アルコールや麻薬やタバコ(ニコチン)などの物質に対する依存(嗜癖)とギャンブルやゲームのような行動やプロセスに対する非物質的な依存の2種類があるとされている。

物質に対する依存症はよく知られているとおりのものだ。

いっぽう、「非物質的な依存」という言葉は聞き慣れないかもしれない。そうした依存には、ギャンブルやゲームなどの行動パターンだけではなく特定の人間関係にのめり込む依存(「共依存」と呼ばれる)も含まれる場合もある。

共依存とは、たとえば、アルコール症やドメスティックバイオレンスの男性を見捨てることができずに献身的に支えるパートナー女性といった状態だ(いわゆる「だめんず」)。

また、買い物依存症、セックス依存症なども非物質的な依存の一種と思われているが、正式に病気として認定されてはいない。

 

そもそも依存はなぜ起きるのか

もともと依存とか嗜癖は、アヘンなどの麻薬となる物質そのものの持つ特徴と考えられていた。

それらは、その物質を手に入れたい強い欲求を人間に引き起こす性質(心理的依存)、その物質を増量していかないと効果がなくなる性質(耐性獲得)、その物質をやめると禁断症状が起きる性質(離脱症候群)という三つの性質だ。

これは、いまでも○○依存症や○○中毒というときに、みなさんも思い浮かべるイメージだろう。だが、これは現在の考え方からすると間違いだ。

耐性獲得と離脱症候群はまとめて生理的依存と呼ばれるが、それ無しでも重度の依存症になり得ることが知られている。

たとえば、強力な麻薬として知られるコカインの場合、生理的依存の性質はなく、強い心理的依存だけがあるという。

では、心理的依存はどのようにして生じるのか。