日本人が大好きな「ハーバード式・シリコンバレー式教育」の歪みと闇

日本では、まったく参考になりません
畠山 勝太 プロフィール

この学区問題が存在する背後には、米国の住宅政策の問題がある。

第一に、米国の低所得者向けの公営住宅は地価の安い所を中心に作られた。このため、公営住宅の周辺が黒人のゲットーと化した。

第二に、大都市を中心にジェントリフィケーションが行われた結果、従来黒人が主に住んでいた地域が減少し、黒人が「主に」住んでいた地域が実質的に濃縮され、黒人「だけ」が住んでいる地域と化した。

第三に、民間の住宅販売や賃貸で人種差別が横行したことが、黒人が適正な価格で適切な地域に住む障害となった。

第四は、第三と関連するが、同じことが住宅ローンの融資の審査でも起こった。

第三・第四の要因は、日本にいると民間セクターが人種差別をするのは合理的ではなく現代においてはあり得ないと思うかもしれないが、トヨタ自動車傘下の米国の金融機関が、自動車ローンの金利設定で人種差別があったとして、賠償金の支払いを命じられたのは、一昨年のことである。

下の図はバージニア大学が作成した住民の人種構成をドット図で表したものである(https://demographics.virginia.edu/DotMap/)。

シリコンバレーの近郊都市であるサンフランシスコ、同じカリフォルニア州のロサンゼルス、ハーバード大学のあるボストン、首都ワシントンDCのどこを見ても分かるように、大都市はどこも実質的な人種隔離状態にある。

シリコンバレーのあるカリフォルニア州は日本人が多いこともあり、リベラルの象徴として日本で語られることを良く耳にする。

 

だが、このように白人にとって都合の悪い貧しい黒人やヒスパニックを徹底的に身近から排除し、豊かな少数の黒人やヒスパニックだけを受け入れて「リベラル」さを醸し出している点は、この州の制度を参考にする際に注意をする必要がある。

教育政策もその例外ではない。マイノリティの居住地区は一般的に過度に治安が悪いため、アジア人が立ち入ることも難しく、日本人がこのような地域の教育を見ることはほとんどない。

日本人がシリコンバレーで見る素晴らしい教育は、このようにすぐ隣にいる貧しい黒人やヒスパニックを徹底的に排除し、かつそのような地域に対して手を差し伸べることなく、自分たちの持つ資源を自分たちの子弟の教育のためだけに使った上に成り立っているものなのは、日本が参考にする上で理解しておく必要がある。