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ノルディック複合、欧州勢が警戒する「アキト・ワタベ」の強さ

「プレッシャーは感じない」
松谷 誠治朗 プロフィール

最大のライバルが予定を変更して白馬へ

実は今回の白馬大会も、有力選手がほとんど参加しない二線級の大会になるところが、ランキングベスト10に入る選手が1人だけ急遽予定を変更してやってきた。

平昌五輪で渡部選手の最大のライバルとなると目されるヤン・シュミット選手(ノルウェー)だ。ランキング1位の渡部暁斗選手に次ぐ2位の選手である。

ヤン・シュミット、渡部暁斗急遽白馬にやってきたノルウェーのヤン・シュミット選手〔PHOTO〕gettyimages

シュミット選手はこう語る。

ノルウェーチームの方針で、白馬に行かずに自国で五輪に備えて調整することになっていたが、ここに来る直前のオーストリアでのワールドカップでアキト(=渡部選手)が3連勝したので、それまで自分が1位だった総合ポイントで抜かれてしまった。だから白馬に行きたいとチームに直訴し、幸い認められたんだよ

つまり、渡部選手の欧州での活躍により、ワールドカップ年間総合優勝を狙うシュミット選手は尻に火がついて、白馬大会をスキップすることができなくなったということだ。

渡部選手とシュミット選手というランク1、2位の選手の参加で白馬大会は盛り上がった。それは渡部選手の活躍が引き寄せたものだと言える。そして、初日は渡部選手の優勝、2日目はシュミット選手の優勝と、ライバルらしく星を分け合い、大会に花を添えた。

 

「プレッシャーは感じない」

2月4日にワールドカップが終わったあと、渡部選手もシュミット選手も白馬に残って練習し、9日に平昌に移動して12日の個人ノーマルヒルの試合に向け調整を続けている。その後は、20日に個人ラージヒル、22日に団体戦でメダルを争うという日程だ。

渡部選手は、平昌に向けては「金メダルしか見ていない」と様々なメディアで語っている。

ソチ五輪では銀メダル、五輪に次ぐ大会である世界選手権で2017年に銀メダル、ワールドカップの年間総合では2位3回と「銀メダル」は数多く手にしてきた。だからあとは金だけを目指している、というストーリーで語られることが多い。もちろんそれは間違いないだろう。

だが、渡部選手の話を聞いていると、どこか自分自身を突き放して客観的に見ているようなところがある。その本心では金メダルだけを見ているわけではないのかもしれない。彼には白馬大会の試合後の会見でこうも語っている。

今回は金メダルをとってもおかしくない状況で平昌に行くことはわかっている。でも、オリンピックはワールドカップとは別なので、ワールドカップで勝っているから勝てるわけでもない。

だからプレッシャーは感じない。いったいプレッシャーとはいったい何なんでしょうね? 僕は金メダルがとれなくても人生が終わるとは思っていない