産業医が明かす「外資系企業で働く人のメンタル事情」ホントのところ

潰れる人を生む「3つの特徴」
武神 健之 プロフィール

外資系企業と邦人企業の違い

私のクライアントの多くはいわゆる外資系企業です。最大株主は外国人ですが働く人のほとんどは日本人という会社から、半数近くが外国人で英語でコミュニケーションをし定期的に国外との電話会議も求められる会社など様々です。

 私の知る限り外資系企業は基本的にフェアです。現クライアントの多くでは、メンタルヘルス不調で休職したからといってすぐにクビになることはほとんどありません。

 

企業には、休職者に対してワンチャンスをあげてほしいことを常にお願いしていますし、その後回復し復職する人も多数います。復職してから同等のパフォーマンスを上げられるように私は休職中も社員と面談を行い、スムースな復職をお手伝いしています。

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一方、外資系企業には厳しい側面もあります。産業医面談に来た時点ではすでに体調に関係なくそのパフォーマンスの悪さから会社が雇用を継続する予定がない人も時にいます。そのような中では常に自分のパフォーマンスを最大限発揮できる状態に保つプロ意識が必要で、私は産業医としてそのお手伝いをしているにすぎません。

ですから、休職者がまだまだ休職が必要そうなのに、復職を焦る一心で主治医に頼み込んで書いてきた復職許可の診断書には反対します。

外資系企業はプロ意識の高い職場なので、働いている限りは「評価」されます。中途半端なパフォーマンスしか出せないのであれば、あと数ヶ月休んで治したほうがいいという考えも一理あります。プロのスポーツ選手は怪我から復帰しても結果を出さないと批判されます。それと同じです。働く以上は、評価されるという覚悟を持ってほしいと考えています。

私はこのように、外資系企業の産業医として10年近く働く中、邦人企業との大きな違いが見えてきました。一言で言うと、「外資系企業はやはり、タフでハードである」ということです。タフでハードとは、その仕事内容や英語を使うということではありません(そこをタフでハードと感じる人はそもそも続きません)。

外資系企業のタフでハードな特徴3つを、以下に挙げます。

特徴(1)雇用に関してシビア

1つめの特徴として、外資系企業は雇用に関してシビアです。

ですから、そこで働く人は自分の雇用を守るために、大きなプレッシャーを常に感じています。給料に見合う働きをしているのかは当然のこと、入社後数年たっても昇進できないのであれば、ほかの人にそのチャンス(機会)を与えたほうがいいと考えます。いわゆる「up or out」で、昇進できなければ退社を、です。

数年前にメンタルヘルス不調で休職となった40代男性Bさんは、もともと邦人金融業大手のセールスナンバー1でした。そして自分の力を試したいと中規模外資に転職、そこでも売り上げを上げ評価され、昨年、大手の同業他社にヘッドハンティングされ高年俸で迎えられました。Bさんはこのころには都内一等地の新築マンションに暮らし、ポルシェに乗るようになっていました。

しかし、転職したとたん世の中が不景気になり、思っていたほど営業成績が上がりません。会社は世界規模での人員削減を発表し、日本支店にもその余波が及びました。

売り上げは上がらないのに高給取りのBさんは、かなりのプレッシャーを受けたそうで、メンタルヘルス不調となってしまったようでした。復職後も景気がよくなく努力は報われず、最終的には売り上げ目標に達することができないため、自ら退職を願い出たと聞きました。