外国人から見た東京の不動産「安いが、未来はない」という残念な現実

単なる投資の対象で、住む場所じゃない
渋沢 詠一

「日本の家屋は1年で10%も価値が下がり、30年ほどで建て直され、最新の耐震技術が組み込まれるのが一般的だ。それでも日本にいる投資家たちはたいてい利益を出している。気前のいい住宅優遇制度と低金利が相まって、リターンは年3〜4%にもなる」

「しかし、そんな市場にも頭打ちの兆候が出てきている。東京圏の12月の価格は前年同月比0.7%減。ジャパン・キャピタル・リアルティの齋藤聖一代表は『我々は、日本の不動産市場は破綻しかけていると考えている』と語ってくれた」

 

冒頭で紹介した香港の投資家たちと同様に、グローバルな巨大都市に比べたら、日本の不動産が値上がりしているといっても大した金額の話ではないという見方は変わらない。ただし、この記事がもう一歩踏み込んで語っているのは、日本のユルい制度のおかげで投資対象としては悪くないが、そんなオイシイ環境も近々終わるだろう、というのだ。

海外が東京に向ける目は厳しい

「アジア・タイムズ」(2017年8月29日)は、東京五輪を前にした高層ビルや会場建築などの需要に沸き立つ東京について、森ビルによる高層ビル開発の現場を取材したうえで、こう書いている。

「何も森ビルが日本の債務危機や日経平均株価の暴落を引き起こすと言いたいわけではない。しかし、オリンピック規模の第二のバブルと言うのが似つかわしい状況ではある。そこには、何百億ドルものカネをソフトよりハードに投じることで、日本は再び偉大な国になるという信念があるのだ」

「2週間のスポーツイベントのために巨大なスタジアムや高層ビル群を建てることは、日本のデフレ状況を変えはしないし、よりイノベーティブになるわけでもなければ、生活水準を上げることもない。起業が盛んになるわけでもなければ、役員会の多様性が広がったり、女性役員の数が増えるわけでもない。時代に逆行するかのような年功序列的な昇進システムが置き換わるわけでもない」

建設ラッシュの東京中心部会場はじめ建設ラッシュの東京中心部 photo by getttyimages

「エコノミストたちは日本がどこへ向かおうとしているのかを考えるとき、膨大なデータや統計に目を向けがちだが、東京の空を切り取る高層ビル群を見上げたほうが、よっぽど物事の本質が見えてくるのではないだろうか」

海外が世界有数の都市・東京に向ける目は想像以上に厳しい。いっぽうで、消滅する、破綻する、などと不穏な予測が飛び交う地方都市については、高い評価を受けているところもある。

いずれにしても、五輪景気だ、建設バブルだと浮かれ、自分たちの土地や家屋、風土の姿が見えなくなってしまうようでは、日本の不動産市場の将来は危ういのではないか。

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人口減少と高齢化を背景に、国のあり方が大きく変わろうとしています。定年までの安定雇用で住宅ローンを返済し、静かな老後生活へ、という人生は、とっくに過去のものとなりました。家を買うのか借りるのか、どこで、どんなふうに暮らすのが幸せなのか。

これからは一人ひとりが新しい時代の「住まい方」を考える時代。現代ビジネス編集部はこのたび、特設サイト『住まい方研究所』を開設しました。皆さんが住まい方を考え、選ぶための役に立つ情報を、さまざまな視点からお届けして参ります。