韓国で発売「安倍首相暗殺」を予言するトンデモ反日小説の中身

平昌五輪の前にもう一度考えておきたい
竹嶋 渉 プロフィール

それぞれが自国の未来を考えるのは自然なことだが、日本だけはそうではない。公平に競争しいつでも妥協の場を開こうとするなら、過去に対する反省と真心からの謝罪が先行しなければならないのだが、妄言を越えて野欲をふたたび公然とあらわす。

特に(安倍)総理が「安重根はテロリストだ」と述べたことは、行きつくところまで行こう、という意思表明と同じだ。これが、安重根を再び(現代に)呼び寄せた理由でもある。

安倍首相が「安重根はテロリストだ」などと述べたことは一度もない(そう述べたのは菅義偉官房長官である)。執筆動機からして勘違いなのである。

調子のいい結末、時代錯誤的な理念

小説では審理の結果、安重根に無期懲役の判決が下される。「世界平和」のために狙撃を決行したことが考慮され、また、有期の懲役にすると、服役後に危害を加えられる恐れがあるため、敢えて無期懲役という量刑になったのだという。

ただし、刑務所には収監されず、中国当局が「韓民族の聖地」・白頭山のふもとに準備した邸宅に居住し、そこで東洋平和に関する著述を行うという条件がついていた。

ちなみに安培首相は一命をとりとめたものの、自らの過ちを反省して政界を退く。その後に行われた総選挙では「歴史を反省し、平和を守るという候補者」が大挙して当選し、安培の取り巻きはすべて落選する。

大多数の日本人は戦争勃発の恐れがなくなったと安堵し、アジアには平和が訪れる……という調子のいい結末で小説は終わっている。

 

小説の「あとがき」で著者は次のように日本人に警告を発している。

(安重根は)平凡な人間として英雄になったことを、特に(韓国を)侵略しようとする意図をもった者どもは肝に銘じなければならない。今日の大韓民国には彼(安重根)のように人を愛し、平和を守ろうとする、平凡であるが、義気あふれる人々が多いためである。警告ではなく、反省の機会になることを心から願う。

要するに、韓国には著者同様、勝手な思い込みで安倍首相に敵意を持っている人間が多く、英雄心に駆られて「義挙(テロ)」を行なう可能性もある、ということであろう。

この小説の内容に歓喜している韓国人読者の反応を見る限り、また現行法を無視して日本大使館や領事館前に建てられた「少女像」や、韓国人による靖国神社の爆破事件や対馬の仏像盗難事件などを見るとき、これは誇張された解釈ではない。

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著者が小説を通して訴えているのは、「目的さえ正当化できるなら、暗殺というテロも容認される」ということである。こうした自分勝手な思い込みをもって他国の指導者を暗殺する行為を正当化できるのならば、世界で頻発しているテロリストの蛮行もすべて肯定しなければならないだろう。

そもそも安重根の理念は帝国主義列強が勢力争いを繰り広げていた20世紀初頭のもの。現在の国際情勢に適用することなど、到底できないのである。

今回の首相の訪韓時に、小説に書かれているようなテロが行われる可能性は低いと見られるが、安倍首相のハリボテ人形が焼かれたり、日章旗が焼かれたりといった、お決まりの「義挙」は大々的に行われるだろう。

安倍首相が韓国人の「脳内妄想」「印象操作」によって引き起こされる「不測の事態」に遭遇せず、無事に帰国できることを祈ってやまない。

ウェブ掲示板で、韓国人に歴史認識についての喧嘩を売ったらどうなるか。炎上させ、そこにさらに油を注いだら面白い反応が得られるのではないか―。日韓両言語を自在に操る著者が、韓国のサイトに韓国語で「爆弾」投下。こうして始まったウェブ論戦。故意の炎上と判断されてのアカウント停止等の苦難を経ながらも、手を替え品を替え、無事すべての「爆撃」を終えることができた。そしてわかったひとつの真実…