自民党支持者の私が安倍政権に抱いた「大きな疑念」

「政治の劣化」を突き詰めると…
辻野 晃一郎 プロフィール

経済至上主義という根底にある問題

産業革命以降、世界の経済は大量消費を前提とした大量生産のビジネスモデルを根底に発展してきた。

2度の世界大戦を含む20世紀は、日本だけではなく、世界がまさに「物欲」や「支配欲」をベースにした資本主義で大きく経済発展を遂げた世紀であった。

そして、戦後の高度成長期は金融資本主義に移行してマネーゲームの世界が生まれた。

マネーゲームの世界はリーマンショックによって一旦破綻したが、その後は、インターネットや人工知能などの技術革新によって、「フィンテック」というテクノロジー主導のマネーゲームに姿を変えた。

日本ではコインチェックの事件が起きたばかりだが、仮想通貨フィーバーもその延長線上にある。

 

そもそも、行政が歪む根底にある問題とは何であろうか。前述の一連の政治スキャンダルはそのほとんどが利権や金銭に絡んでいる。

別に今に始まったことではないが、結局、政治が利益誘導の道具として利用される構図になっていることが本質的な問題だろう。田中角栄時代のロッキード事件以前から今日に至るまで、政治の本質は何も変わっていないということだ。

安倍政権が高い支持率を得てきた一番の拠り所も、実態はどうあれ、表向きの経済が好調な状態が続いているからだ。

世の中の根底に経済至上主義がある限り、権力者を利用して利益誘導しようという人たちが消えることはなく、政治が歪む根本要因となり続けている。戦争ビジネスはその最たるものだ。

〔PHOTO〕iStock

「欲」の支配からの脱却

資本主義や経済至上主義が行きつくところまで行った結果、富の格差は広がる一方だ。

一説ではビル・ゲイツやジェフ・ベゾスなど、世界の8人の富豪が、世界の下位50%の人と同じ富を持つといわれる。また、米国に限ると、上位0.1%の人が下位90%の人と同等の富を持つとされる。

行き過ぎた格差社会の是正はまさに政治の役割だが、一方で、経済至上主義や利権に支配された政治が現代の格差社会を生み出したともいえる。

インターネットが普及した現代社会は「Wisdom of crowds(群衆の叡智)」の時代だ。今や、技術革新によって、一個人の発言や行動の影響力は飛躍的に高まった。政治の暴走や歪みを食い止めるのは、良識ある個人個人の叡智や行動でしかない。

政治の劣化について突き詰めて行くと、結局のところ人間の「欲」というテーマに行き当たる。

現代社会では、かつて大切にされた教えも忘れ去られてしまっているが、たとえば、孔子の教えを体系化した「論語」では、全人格的な成長を遂げた個人としての「君子」の在り方を描き、「徳」の大切さについて説く。

世の中の秩序を形成して維持し発展させてきた人類は、今こそ、欲に支配された古い秩序から抜け出さねばならないのではないか。

それができない限り、毎度同じような政治スキャンダルが繰り返され、戦前の軍産複合体や戦争ビジネスが復活し、歴史は繰り返す、という結論になりかねない。

今年は、政治家だけでなく、将来に対する我々一人ひとりの自覚と責務が問われる年になる。

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