どんな家庭に育った子でも、パブリックでは平等に学べるようにしなければなりません。何一つ肩身の狭い思いをしないで学び、社会で役に立つことができるように導く。それが学校の役割でもあり、レイはそんな可能性を持っている子でした。また、そういう子と一緒に学ぶことで、確実に周囲の子も大変多くのことを学んでいくのです。

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『みんなの学校』は地域で作られている

大空には、子どもと教職員、サポーターと呼んでいる保護者とともに、学校をつくっていく大人がほかにもいます。学校の外からやってきて、学校を力強く支えてくれる地域の人です。地域の人は毎日のように学校へきて、さまざまな形で子どもたちとふれあいます。また、「大空パトレンジャー」といって、子どもたちの登校する様子を見守ってくれます。

学校の中を支えているのは、管理作業員です。彼らは子どもたちを毎朝校門で出迎えているためか、子どもたちが何気なく発した言葉で家庭状況などの異変を敏感に感じ取ります。また、遅刻なのか、欠席なのか、朝連絡の取れない子の家に自転車を飛ばして様子を見に行くこともあります。

レイは、この管理作業員とパトレンジャーの人々に温かく育んでもらいました。朝学校に行けないでいると、管理作業員が自転車で様子を見に行きます。集団登校に間に合わず遅刻してしまえば、自宅近くでパトレンジャーの方が待っていて学校まで付き添ってくれます。

運動会でも、保護者や勤務している人のみならず地域の人たちが協力してくれる ©関西テレビ放送

私たちは、レイの在学中から、大空を卒業した後のことが気になっていました。6年間一緒にすごした大空の仲間がいるとはいえ、レイの事情を中学の先生方にもわかっていただく必要があります。地域の中学校と密に連絡をとり、中学進学の準備もしていました。

ところが、家庭の事情で本当に突然引っ越すこととなり、彼は地域外の中学に行くことになったのです。レイは、地域の愛に支えられて小学校に6年間通っていたので、まったく知らない中学だと行かなくなってしまうのではと不安に思っていました。

それでも「当たり」だったのです。中学進学後、レイはこう報告してくれました。

「担任の先生、めっちゃいい人やねん。若くてサッカーの顧問してるんやけど、『お前のことは俺が何があっても守ったる、安心して来い』って言ってくれたん」

よかった、少なくとも1年レイは学校に行ける、と思った6月のある日のことでした。
レイが学校に行かなくなったのです。