名護市長選「与党勝利」で沖縄の記者がいま最も懸念すること

秋の県知事選の行方も気になるけれど…
新垣 毅

強化され続ける「構造的差別」

今回の名護市長選は、辺野古新基地建設問題だけでなく、秋の知事選にも大きな影響を与えるとみられるため、注目を集めた。その影響を考える前に、二つの構造について留意したい。

一つは、最近、米軍ヘリ不時着や部品落下、墜落事故が頻発していることから見える構造である。表層的には、在沖米軍に駐留するヘリの老朽化や整備不良が指摘されている。背景にはオバマ米政権時代からの予算削減の影響で、新しい機体への代替や整備が徹底できない状況があるという。

その一方で、北朝鮮情勢が緊迫する中、練度を落とすわけにはいかない。いざという時に対応できるよう日頃から訓練することが、備えであり、抑止力になると考えられている。

それらを踏まえると、北朝鮮情勢の緊迫が続けば続くほど、必然的にヘリに関する何らかの事故が発生する可能性が高いとみられる。

沖縄は多くの米軍ヘリが駐留しているだけでなく、ほぼ全域が訓練場化している場所でもある。例えばオスプレイ対応のヘリパッドは、沖縄本島に69カ所ある。訓練が行われている伊江島補助飛行場や普天間飛行場を除いての数である。

訓練移転や駐留機削減、基地閉鎖、飛行時間の短縮、飛行空域の制限など対策を講じなければ、今後も事故は起こり続け、場合によっては人命を犠牲にする大事故さえ、起こりうる。このような北朝鮮情勢と訓練激化、ヘリ老朽化と予算削減という構造は放置されたままだ。いつでも事故が起きてもおかしくない状況が続いているのである。

 

しかし、事故がある度に、日本政府は原因究明までの飛行停止さえ、実現できない。米軍側は日本政府の要請をも無視してきた。事件や事故がある度に、日米地位協定を象徴とする従属関係が露呈する。その従属関係が沖縄に矛盾や不条理を強いている。その状態が構造化しているのである。

二つ目の構造は、いわゆる構造的差別である。日米が共同で、沖縄に基地を集中させる構図は今も変わらない。日米の政権はずっと、この構図を維持する政策を実施してきた。

有権者は政権を選ぶことで、結果的に沖縄への基地集中という政策を支持した形になっている。さらに多くの国民や主要メディアの無関心・無理解・偏見が、選挙の際に、その政策を争点化したり、世論において問題化したりする機会をつぶしている。

この構造的差別は日本が形式上、独立を果たした1952年のサンフランシスコ講和条約、そしてほぼ同時に調印された日米安保条約締結以降、ほとんど変わらない。むしろ近年は「日米同盟強化」の名の下で、この構図は一層強化されているようにさえ、みえる。「日米同盟」は国体化したといわれるほど、政治家や官僚、有識者、メディアが無批判の状況が作り出されている。

これに乗じて、沖縄における新基地建設反対の声は、その「国体」に対する「反逆」であり、基地に反対する沖縄の人は「反日」「テロリスト」とレッテルを貼る〝ヘイト〟がまん延している。

沖縄ヘイトは、従来の構造的差別を補強あるいは助長する環境作りに、一役買っている。基地反対派を非民主的手法で排除するという目的や実践が結果的に一致するという意味で、政権がヘイトを保証する状況や構造が出来上がっているのだ。