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「月9」ドラマ、失敗の本質~なぜドツボから抜け出せないのか

すべるのを恐れて、すべる悪循環

低迷がつづくフジテレビの「月9」ドラマ。なぜなかなか復活できないのか? その〈失敗の本質〉をコラムニスト堀井憲一郎さんが解説する。

 

第1話で勝負が決まる

木村拓哉のドラマ『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日)は楽しい。

木村拓哉がきちんと正面から「かっこいい男性」を演じていて、それが見ていて心地いい。第1話からストレートでわかりやすかった。

そういうドラマが、人気が出る。

ここのところのドラマは、勝ち負けがわかりやすい。ドラマの数が減ったこともあるのだろう。視聴率でいえば、10%を越えるかどうかではっきり分かれる。初回で10%を越え、そのまま越え続ければ勝ちである。初回で10%を切ると、取り戻せない。

だいたい第1話で決まってしまう。

いまは逆転のしにくい時代なのだろうと、ドラマを眺めているとつくづくおもう(視聴率はいまのリアルな視聴を反映していないと言われるが、調査であるかぎりは、横並びの比較には意味があるとおもう)。

フジテレビの月曜9時のドラマ、かつて「月9」と呼ばれ人気だったのだが、いまは「とても人気のないドラマ枠」になった。1年で4本あるうち、3本がつらい、ということが続いている。なかなか厳しい。

私は見るのが仕事といえば仕事だから何となく見続けるが、おそらく視聴者はそうはしていないだろう。そうおもわされるドラマが多い。

かつて大人気だったドラマ枠だから、それなりのノウハウなり、受けるための方策があってもよさそうなのに、何も感じられない。どこかで断裂して、問題を抱えているようだ。

日本社会の問題そのものを反映しているのではないか。

いまの「月9」は『海月姫』である。

自分で書き写していていまおもったのは、難読クイズじゃないだから、このタイトルはすっと入ってこないな、てことですね。読めない人がいるはずだ。

こんな文字も読めないのか、と鼻で笑う人もいるだろうけれど、テレビドラマは難読漢字が読めない人を取り込まないといけないんだから、そこは丁寧なほうがいいとおもう。原作のタイトルに従っただけだろうけど、「クラゲ姫」としたほうが親切なのにな、と余計なことをおもった。アニメで認知されているからいいんだという考えがあるかもしれないが、「おたくのドラマ」に「おたく」を呼び込んでどうする。

いや、タイトルの漢字なんてどうでもいい。瑣事です。

肝腎なのは初回の内容である。

いま受けるドラマの法則

ドラマの第1話は、どういう世界で、どういう気分にさせてくれるのか、それを示す場所である。

フジ月9は、ずいぶんそれが下手になった。そう感じる。

『海月姫』も『民衆の敵』も(ひとつ飛ばして)『貴族探偵』も『突然ですが、明日結婚します』も、初回を見ても、続けて見ようと思わせる力がとても弱かった(ひとつ飛ばしたのは、2017年フジテレビ唯一の成功ドラマ『コードブルー3rd season』。タイトルからわかるようにシリーズもの第3弾)。

ここのところの「月9」ドラマの始まりは、明るく楽しいものにしようとして、空回りしている。見ていて気の毒になる。