ヤマト運輸「128億円赤字の正体」アマゾンのせいじゃなかった

佐川が好調なのをみれば分かる
加谷 珪一 プロフィール

日本郵政との役割分担を

こうした企業カルチャーの違いは、拠点間配送の方法にも表れている。ヤマトは拠点間輸送にも多くの自社トラックを投入しており、全国に網をかぶせていくという考え方を持っている。

一方、佐川は、拠点間輸送については外部の運送業者に委託するケースが多く、自社の配送網は最終的なラストワンマイルに集中している。

 

佐川は2004年からJR貨物と共同で、東京-大阪間を6時間で結ぶ特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」を運行している。スーパーレールカーゴ導入の直接的な理由は二酸化炭素(CO2)の削減など、いわゆるモーダルシフトの推進であった。

しかし、拠点間輸送を大胆に外注するという経営判断の背景には、佐川は日本郵政と対抗するようなビジネス・モデルではなく、あくまで企業向け小口配送を主力にした企業であるとの認識がある。

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規制緩和を求めた小倉氏の主張に対して、最終的に政治(つまり国民)が下した結論は、国営事業としての郵便存続であった。もしそうであるならば、ヤマトのDM便についてもそろそろ再考が必要な時期に来ているのかもしれない。

ちなみに米国では、規制緩和一辺倒というイメージとは裏腹に、今でも郵政公社が存続しており、安価な運送業務を一手に担っている。

米国の場合、同じ宅配便の中でも、日数が長くコストの安い配送は郵政公社が担い、そうではないサービスはFedExやUPSが担うという、ある種の役割分担が成立している。FedExやUPSは単価の高い業務に集中しているので両社の利益率は極めて高い。

日本では国策としての郵政事業を存続させたものの、民間会社として上場しており、その位置付けは中途半端である。

今後、ネット通販がさらに拡大するのは自明であり、運送事業者の役割はますます高まってくる。ネット通販の取扱量増加をただ問題視するのではなく、日本郵政のあり方も含め、運送事業者の役割分担についてもっと幅広い議論が必要だろう。